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2009年11月

当院にもAED(自動体外式除細動器)が設置されました

当院にもAED(自動体外式除細動器)が設置されました

一般市民によるAEDを使用した除細動は世界のスタンダード

日本におけるAEDの導入は、2000年に大学主催の市民公開講座で初めてAEDの必要性が紹介されたのを皮切りに、2001年に日本循環器学会でAED検討委員会が発足し、2001年12月には飛行機内で客室乗務員が使用できるようになりました。2003年には、救急救命士が医師の指示がなくても除細動を行えるようになり、2004年に一般市民の使用が解禁されています。その背景には、これまでの救命体制では心停止患者の救命率が極めて低かったという事実です。心臓突然死の過半数を占める心室細動から救命するには除細動が必須であるが、医師や救急救命士の処置を待つだけでは間に合わない。このため、一般市民によるAEDを使用した除細動を認めるのが世界的なスタンダードとなっており、日本でも医師以外の使用を禁止する理由がなかったのです。AEDの普及が、日本でも急速に進んでいますが、一般市民が実際に心停止患者を発見した時に迷い無くAEDを使用できるかというと、まだそこまでには至っていません。
AEDは、突然意識や呼吸がなくなった人に対して用い、必要に応じて電気ショックを与え、心臓の拍動を取り戻すための機器です。心停止患者の胸にAEDの装置をあてると自動的に電気ショックが必要かどうかを判断し、音声で使用方法を教えてくれる。必要のない場合には電気ショックが働かないため、一般市民でも間違いなく使用することができる、いわば「音声ガイド付きの押しボタン式心臓救命装置」です。

AEDを使用するには、特別な講習や資格は必要ありませんが、講習を受けておけば救命の効率を高めたり、いざという時にパニックにならないというメリットがあります。また、全くの素人がAEDを使用して救命できなかった場合や、万が一後遺症が残った場合に責任を負うかどうかという点については、法律上は緊急時の善意の行為として免責される。AEDは講習を受けなくても誰でも使え、たとえ救命できなくても責任を負いません。
AEDによる救命例をみると、空港や駅などの公共施設で報告されている他、マラソン大会やテニス大会などのスポーツイベントでの報告例も多い。一方、ニュースとしても報道されたが、野球部の試合中にボールが胸に当たり「心臓震盪」という状態に陥った生徒を救命できた例とできなかった例が報告されています。

市民による除細動の実施件数は、2005年には全国で41件だったのが、2006年には140件と3倍以上に増加。除細動を受けて1カ月後も生存している率をみると、2005年では27%だが、2006年には32%に上昇し、市民がAEDを使用すれば3人に1人は救命できるようになっている。しかし、心停止全体では、市民が除細動を行った例は1%に満たない。今後は、コンビニエンスストアやガソリンスタンド、交番、学校などにAEDの設置を進めるなど、地域において救命のためのインフラを築くことが望まれます。

AEDって何?
自動体外式除細動器です。心室細動という不整脈が原因で心臓が止まったときに、元のように拍動を再開させるために、この器械を使って心臓に電気ショックを加えます。裸の胸の上から電気ショックを加えるので体外式と呼びます。自動というのは、器械が心臓の状態を自動的に診断し、電気ショックが必要と判断したら、そのことを音声で救助者に伝える仕組みになっている、という意味です。電気ショックを実際に加えるには音声に従って最後に救助者がボタンを押す必要があり、音声ガイド付き、押しボタン式心臓救命装置ともいえます。

どんなときに使うの?
心臓が止まったときに使います。ですが心臓が止まっているかどうかがわからないときでも、意識がなく、呼吸もしていなければ使うべきです。つまりAEDは治療の器械である前に診断の器械でもあります。ただ同じ心停止でも心臓が微動もしない状況では役立ちません。心臓が小刻みに震えた状態になる心室細動とよばれる不整脈のときのみ、それを治すことができます。両者の違いは器械にしかわかりません。大事なポイントは人が倒れるのを目撃したら、転んだ、気を失った、などと考えずに、心臓が止まったのかもしれない、とまず疑うことです。AEDがそばになければ誰かに持ってきてもらいます。119番通報も忘れないで下さい。

新型インフルエンザ・・・呼吸器症状に注意

新型インフルエンザ・・・呼吸器症状に注意

厚生労働省の11月5日の発表によると、今月3日までに新型インフルエンザにより入院した患者の累計が5,072人に達した。入院患者の年齢層の中心は5~9歳(2,204人)。10~14歳、1~5歳がそれに続いている。一方、死亡者の年齢別内訳では60~79歳が12人と最も多く、40~59歳が9人、20~39歳が8人、5~9歳は6人、1~5歳は3人となった。なお、60歳以上の死亡者では全例が基礎疾患を有していた。現在、日本における新型インフルエンザによる死亡率は0.001%。海外からの報告に比べると格段に低い。「新型インフルエンザでは迅速診断キットの陽性率は50~60%程度と報告されており、迅速検査が陰性であっても、周囲の流行状況や臨床症状からインフルエンザ感染を疑えば、早期から抗インフルエンザウイルス薬で治療を開始すべきと考えられる。また、喘息の既往がなくても、急速に喘息様症状を来し、呼吸不全に陥る可能性があり、呼吸状態悪化時は早期に再診するよう注意を喚起する必要がある。人工呼吸管理を必要とした小児や若年者の重症例では、発熱などのインフルエンザ様症状発現から気管挿管・人工呼吸管理までの期間が短いことが1つの特徴。発熱から数時間のうちに気管挿管による人工呼吸管理に至ったケースもいくつか報告された。保護者がわが子の呼吸状態を評価することは困難な場合が多く、かなり悪化してから受診する例も見られる。鼻翼呼吸、陥没呼吸、多呼吸など小児でよく見られる呼吸パターンの異常を保護者に説明しておくことも有用である。診察時に既に呼吸障害がある患児については速やかに高次医療機関への転送が必要であり、入院治療が可能な受け入れ機関を把握しておくことも重要と思われます。