2014/06/04
やめたくてもやめられない喫煙… 身体的依存と心理的依存
たばこをやめたくてもやめられないのがニコチン依存症だ。吸い始めた年齢が若いほど依存症になるケースが多いという。国は20代のニコチン依存症患者の禁煙治療の支援拡大を検討しており、喫煙が原因の医療費増大に歯止めをかけたい考えだ。
ニコチンの依存度は禁煙外来の依存度テストで10項目中5項目が当てはまると判定されます。国内の喫煙率は男女合わせて約20%で、10年前と比べてもほぼ横ばいです。ニコチン依存症で何度か禁煙を試みても挫折してしまう方が7割を占めています。
ニコチンは肺から急速に吸収され、6~7秒で脳に達する。脳は快感や幸福感をもたらすドーパミンと呼ぶ物質をつくる。ニコチンは脳に対し、神経伝達物質の“ドーパミン”を過剰に出すよう働きかける。ニコチン依存症とはドーパミンが放出されて“ニコチンを待ちこがれる回路”が脳に作られることです。依存症になると、血液中のニコチン量が減るたびに快感を求めてニコチンを欲しがる。何度も繰り返すうちにニコチンがないとイライラや落ち着かないなどの禁断症状が表れる。これが身体的依存です。たばこを吸うと頭がすっきりし、リラックスできると感じたら身体的依存になっています。
一方、心理的依存もある。いつもの喫煙場所に行くと欲しくなったり、食後に吸いたくなったりするのは心理的依存の症状です。
ニコチン依存症から抜け出すには、身体的依存と心理的依存を克服する必要がある。身体的依存は禁煙すれば3カ月でなくなる。ただ、心理的依存は一生続く。癖や習慣が直りにくいのと同じ。禁煙に挑戦してもまた吸ってしまうのは心理的依存の影響が大きい。
依存症の人が自力でたばこをやめるのは難しい。効果的な禁煙方法は禁煙外来を受診するのが得策です。たばこを吸いながら禁煙する禁煙補助薬は、脳内にニコチンと似たような物質を送り込むことで、ニコチンの脳内での働きを妨げる。薬を飲んでたばこを吸うとまずく感じやすい。まずいと食べたくないと思うように、もう吸いたくないと思わせる効果があります。なかなか治らない心理的依存症には、たばこはストレス解消になるなどのゆがんだ知識や考えを正し、害が多いという考えに戻して禁煙することが必要です。電子たばこは、たばこを吸うという動作が習慣を呼び覚ます。本数を減らすのは、ふとしたときに吸ってしまうとおいしく感じられて逆効果になります。禁煙治療薬は今や一般薬局でも買える時代。しかし、禁煙外来に行けば、もっと効果的に喫煙習慣を絶つことができます。製薬会社ファイザーの『すぐ禁煙.jp』やノバルティス ファーマ社の『いい禁煙』などで近隣の医療機関を調べることができます。
ニコチン依存症という“病気”だから“意志の力”だけでやめるのは難しい。真剣に“やめたい”と思っているなら、禁煙外来を訪ねてみてはいかがだろうか。
よい睡眠をしていますか
睡眠に悩む方が増えています。厚生労働省はこの4月に睡眠指針を改定し、若年・勤労・熟年の3世代別に睡眠の注意点や、アドバイスが盛りこまれました。多忙な勤労世代には睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させるため、十分な睡眠を呼びかけています。
日中の眠気が睡眠不足のサインだとしています。近年、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因と見られる事故が頻繁に報道され、睡眠障害の問題がクローズアップされました。SASは中高年男性に多いとされ、まさに、勤労世代を不安にさせる病です。日中の激しい眠気に悩み、医療機関を受診しこの病が判明する方が多い。オレキシンという眠気を押さえる脳内伝達物質があり、今年、この物質をブロックする薬(睡眠薬)が発売されます。今までの睡眠薬は脳に麻酔をかけていたようなものでしたが、この薬は自然な眠りが得られるようです。逆に脳を覚醒するオレキシンを作るような薬ができれば眠気をコントロールしやすくなります。うつ病・認知症などの脳の病気や、メタボリック症候群などの生活習慣病にも役立つとも考えられています。
健康づくりのための睡眠指針 2014 (厚生労働省) ~睡眠 12 箇条~
- 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
- 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
- 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
- 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
- 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
- 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
- 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
- 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
- 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
- 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
- いつもと違う睡眠には、要注意。
- 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。