2016/06/02
日本人の平均寿命とがん
世界保健機関(WHO)が発表した「世界保健統計」で、2015年の日本人の 平均寿命は 83.7歳、日本人女性の平均寿命は86.8歳でともに世界一だった。
男性は80.5歳でイタリアと並んで6位だった。また、健康上支障なく日常を送れる期間を示す「健康寿命」も74.9歳と世界一で、日本の医療水準の高さを裏付けました。世界の平均寿命は71.4歳でした。
国立がん研究センターのがん対策情報センターが発表した2015年のがん統計予測データでは、今年新たにがんと診断される数(罹患数)は推計98万2,100例で、2014年の予測値から約10万例増加。今年がんで亡くなる人は推計37万900人で、2014年予測値を4,000人上回るとした。
前年と比べた罹患数の増加は、高齢化の進行とがん登録の精度向上が要因と考えられます。日本人の2人に1人がなるといわれるがん。残念なことに、“がんを完全に予防する方法”は、今のところありません。
しかし、生活の中で気を付けていれば、がんになるリスクを下げることができるポイントがあることが分かってきています。がんを発症する主な原因は「ウイルス・細菌感染」「発がん性物質」「生活習慣」の3つが挙げられます。
このうち生活習慣は、すべてのがんに影響を与えるため、いま一度見直して、健康的な習慣を心がけることが大切です。5つの健康的な習慣とは、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動(運動)」「適正体重の維持」。国立がん研究センターの調査によれば、この5つの健康習慣をすべて実践した人は、ゼロまたは1つだけ実践した人に比べて、がんになるリスクが男性で43%、女性で37%低下するというデータが示されています。
もしがんになった場合治療後どれだけ生きることができるか国立がん研究センターの研究班が10年相対生存率で示しました。10年相対生存率とは、がんと診断された人のうち10年後に生きている人の割合(10年生存率)が、日本人全体の10年後に生存している人の割合と比べてどれくらい低いかを表したものです。すべてのがんの10年相対生存率が58.2%でした。部位ごとにみると生存率90%以上のがんは甲状腺がん(90.9%)、生存率30%未満のがんは食道がん(29.7%)、胆のう・胆道がん(19.7%)、肝がん(15.3%)、膵がん(4.9%)で部位により大きな差があります。以前からがん生存率は、がんの治療による効果を示す指標で、がん診療評価などで重要な数値の一つで、がんの診療評価には5年相対生存率のデータが使われています。これは、がんは診断から5年間再発しなければ、その後に再発する可能性が低くなり、そのがんは治癒したと判断されることが多いためです。
しかし、今回の集計で、一部のがんでは治療から5年以内に再発が見られなくても治癒とは見なせないことが裏付けられました。5年相対生存率と10年相対生存率を比較すると、胃がん(5年相対生存率70.9%→10年相対生存率69.0%)、大腸がん(72.1%→69.8%)などでは、ほぼ横ばいです。
一方、乳がん(88.7%→80.4%)、肝がん(32.2%→15.3%)は5年を過ぎても生存率が下がり続ける。今回、10年相対生存率を算出したことで、5年以降も生存率が下がり続ける乳がんや肝がんなどでは、5年目以降も検査を繰り返すといった十分なフォローアップが必要であることが分かりました。
男性は80.5歳でイタリアと並んで6位だった。また、健康上支障なく日常を送れる期間を示す「健康寿命」も74.9歳と世界一で、日本の医療水準の高さを裏付けました。世界の平均寿命は71.4歳でした。
国立がん研究センターのがん対策情報センターが発表した2015年のがん統計予測データでは、今年新たにがんと診断される数(罹患数)は推計98万2,100例で、2014年の予測値から約10万例増加。今年がんで亡くなる人は推計37万900人で、2014年予測値を4,000人上回るとした。
前年と比べた罹患数の増加は、高齢化の進行とがん登録の精度向上が要因と考えられます。日本人の2人に1人がなるといわれるがん。残念なことに、“がんを完全に予防する方法”は、今のところありません。
しかし、生活の中で気を付けていれば、がんになるリスクを下げることができるポイントがあることが分かってきています。がんを発症する主な原因は「ウイルス・細菌感染」「発がん性物質」「生活習慣」の3つが挙げられます。
このうち生活習慣は、すべてのがんに影響を与えるため、いま一度見直して、健康的な習慣を心がけることが大切です。5つの健康的な習慣とは、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動(運動)」「適正体重の維持」。国立がん研究センターの調査によれば、この5つの健康習慣をすべて実践した人は、ゼロまたは1つだけ実践した人に比べて、がんになるリスクが男性で43%、女性で37%低下するというデータが示されています。
もしがんになった場合治療後どれだけ生きることができるか国立がん研究センターの研究班が10年相対生存率で示しました。10年相対生存率とは、がんと診断された人のうち10年後に生きている人の割合(10年生存率)が、日本人全体の10年後に生存している人の割合と比べてどれくらい低いかを表したものです。すべてのがんの10年相対生存率が58.2%でした。部位ごとにみると生存率90%以上のがんは甲状腺がん(90.9%)、生存率30%未満のがんは食道がん(29.7%)、胆のう・胆道がん(19.7%)、肝がん(15.3%)、膵がん(4.9%)で部位により大きな差があります。以前からがん生存率は、がんの治療による効果を示す指標で、がん診療評価などで重要な数値の一つで、がんの診療評価には5年相対生存率のデータが使われています。これは、がんは診断から5年間再発しなければ、その後に再発する可能性が低くなり、そのがんは治癒したと判断されることが多いためです。
しかし、今回の集計で、一部のがんでは治療から5年以内に再発が見られなくても治癒とは見なせないことが裏付けられました。5年相対生存率と10年相対生存率を比較すると、胃がん(5年相対生存率70.9%→10年相対生存率69.0%)、大腸がん(72.1%→69.8%)などでは、ほぼ横ばいです。
一方、乳がん(88.7%→80.4%)、肝がん(32.2%→15.3%)は5年を過ぎても生存率が下がり続ける。今回、10年相対生存率を算出したことで、5年以降も生存率が下がり続ける乳がんや肝がんなどでは、5年目以降も検査を繰り返すといった十分なフォローアップが必要であることが分かりました。
喉頭がんは予防できるがん
ここ数年間に、声が“商売道具”である歌手や落語家が、のどのがんと診断されて治療を受け、声を失ったり、治療の甲斐なく亡くなったり、といったニュースがありました。
つい最近では、歌手で音楽プロデューサーのつんくさんが、喉頭がんの治療で声帯を摘出したことを近畿大学の入学式で公表し、話題になりました。
一般にのどのがんというと、喉頭がんまたは咽頭がんを指します。それらのうち、声を失う危険性が特に高いのは喉頭がんで、声帯がある部分(声門)にがんが見つかった人々です。喉頭のがんは、声帯部分に生じる声門がん、それより上にできる声門上がん、声門より下にできる声門下がんの3つに分類されます。喉頭がんの約3分の2を占める声門がんは、早くから声枯れを引き起こすため、声門がん患者の約7割は早期がんの段階で診断されます。
声門上がんでは進行するまで声は変化しませんが、異物感や食べ物を飲み込んだときの痛みなどの症状は現れます。声門下がんはかなり進行するまで無症状であるため、早期発見は容易ではありませんが、喉頭がんに占める割合は1~2%とわずかです。喉頭がん患者の90%以上が喫煙者です。
男性患者が多い理由の一つは、その喫煙率の高さにあると考えられています。飲酒も喉頭がんになるリスクを上昇させます。継続的な喫煙と飲酒が相乗的に働いて、特に声門がんを発生しやすくさせると考えられています。
喉頭がんのほとんどは予防できます。まだタバコと縁のない子供たちに、喫煙を開始しないことの大切さを教えてあげてください。
つい最近では、歌手で音楽プロデューサーのつんくさんが、喉頭がんの治療で声帯を摘出したことを近畿大学の入学式で公表し、話題になりました。
一般にのどのがんというと、喉頭がんまたは咽頭がんを指します。それらのうち、声を失う危険性が特に高いのは喉頭がんで、声帯がある部分(声門)にがんが見つかった人々です。喉頭のがんは、声帯部分に生じる声門がん、それより上にできる声門上がん、声門より下にできる声門下がんの3つに分類されます。喉頭がんの約3分の2を占める声門がんは、早くから声枯れを引き起こすため、声門がん患者の約7割は早期がんの段階で診断されます。
声門上がんでは進行するまで声は変化しませんが、異物感や食べ物を飲み込んだときの痛みなどの症状は現れます。声門下がんはかなり進行するまで無症状であるため、早期発見は容易ではありませんが、喉頭がんに占める割合は1~2%とわずかです。喉頭がん患者の90%以上が喫煙者です。
男性患者が多い理由の一つは、その喫煙率の高さにあると考えられています。飲酒も喉頭がんになるリスクを上昇させます。継続的な喫煙と飲酒が相乗的に働いて、特に声門がんを発生しやすくさせると考えられています。
喉頭がんのほとんどは予防できます。まだタバコと縁のない子供たちに、喫煙を開始しないことの大切さを教えてあげてください。