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2024年2月

最強の免疫力は「ストレス回避」「適度な運動」「体温上昇」

風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス。こうした感染症にかからないために、また、かかっても軽く済ませるために、できるだけ免疫力を高めましょう。

免疫をうまく働かせる方法

 そもそも免疫とは、ウイルスや細菌などの病原体から体を守る大切なシステムのこと。病原体が体に入ってくると、「自然免疫」が働き、たとえそこを乗り越えた病原体がいても、今度はそれを「獲得免疫」が迎え撃つ。獲得免疫は病原体との戦いを経て鍛えられ、その病原体のことを記憶して次の侵入に備える機能を持っています。 感染症にかかりにくくするためには、肺炎球菌による肺炎や、インフルエンザなど、ワクチンがある感染症についてはワクチンを接種することです。ワクチンを接種すると、まれに重篤な副反応が起こることがあります。しかし、万一感染しても軽症で済むなら、特に高齢者や持病がある人などハイリスクの人にとっては接種する意義が大きい。年をとってワクチン接種の機会が減ると、免疫が「訓練」される機会も減ってしまう。高齢者も、毎年秋にインフルエンザ、そして肺炎球菌のワクチンを所定の時期にきちんと受けておけば、その病気の発症や重症化を防ぐだけでなく、免疫を訓練できるのです。 がん治療に「免疫療法」という免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法があります。 私たちの体は免疫力によって、発生したがん細胞を排除しています。免疫では、免疫細胞と呼ばれる血液中の白血球などが中心的な役割を果たします。このうち「T細胞(Tリンパ球)」には、がん細胞を攻撃する性質があり、免疫療法で重要な役割を担います。 T細胞が弱まったり、がん細胞がT細胞にブレーキをかけたりしていると、免疫ががん細胞を排除しきれないことがあります(=がんが増殖する)。そのブレーキを解除することなどにより、免疫本来の力を利用してがんを攻撃する治療法が「免疫療法」です。 免疫は感染症、がん、アレルギーなどに大きく関わっています。では免疫力をつけるには血管系やリンパ系の流れを良くすることが重要といわれています。

 リンパ球は免疫に関わる細胞で、白血球の1つです。リンパ球は、血管とリンパ管を介して、病原体が侵入するリンパ組織(リンパ節や扁桃など)に出たり入ったりを繰り返し、全身をパトロールしています。血液やリンパの流れを良くするには、「過度のストレスを避ける」「適度な運動をする」「体温を少し上げる」の3つが重要です。

1.過度のストレスを避ける

 ストレスが心身に悪影響を及ぼすことは周知の事実だが、ストレスと免疫の間にも深い関係があります。ストレスがたまるとコルチゾールという副腎皮質ホルモンがたくさん作られます。コルチゾールは免疫系に関わるすべての細胞の数を減らしてしまいます。

2.適度な運動

 運動すると、筋肉や骨から免疫を調節するサイトカインという物質が作られます。免疫系をうまく働かせる潤滑油のような役割があります。運動といっても、毎日何時間も激しいワークアウトをする必要はない。体調や年齢によってはジョギングもストレスになるため、ウォーキングのような、ほどよい運動で構わないのです。軽く息が弾むくらいの強度とし、無理のない時間でとどめる。激しい運動は、かえって免疫力に悪影響を及ぼす可能性があります。忙しくてウォーキングをする時間がとれない、という人は、掃除などの家事をこまめにするだけでも良いのです。運動習慣のない人は少しでも増やすよう心がけたいものです。

3.体温を少し上げる

 体温を上げることにも、血液やリンパの流れを良くする効果があるという。発熱はリンパ球の働きを高めるための防御反応の1つであり、体温が少し上がると免疫の力は全体的に高まると考えられています。体温を少し上げるためには、適度な運動に加えて、入浴もお勧めです。入浴時の温度はぬるま湯でゆっくり入浴することがよいようです。