【営業時間】9:00~12:00 15:30~19:00
TEL.059-244-2222

2025年1月

明けましておめでとうございます。
今年も多くの患者さんに
満足していただける治療を目指します。
よろしくお願いいたします。

新型コロナの発熱にイブプロフェンは避けるべき?

市販されている解熱薬は大きく分けると、イブプロフェンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs;エヌセイズ)と、アセトアミノフェンに分類されます。
イブプロフェンとアセトアミノフェンは、いずれも、世界中で広く使われている解熱薬です。
イブプロフェンのような炎症を抑制する薬剤の服用は、感染を悪化させる可能性があるため使用を控える必要があると考えられています。

WHOは新型コロナウイルス感染症患者の治療に当たっている医師を対象とする調査の結果、イブプロフェンが特別に症状を悪化させるという報告はなく、新型コロナウイルス感染症患者にイブプロフェンが有害であることを示した論文もなかったと説明しています。

しかし、小児のインフルエンザ患者に投与する解熱剤としてNSAIDsではなくアセトアミノフェンが推奨されています。
その理由は、NSAIDsがインフルエンザ脳炎・脳症にかかわる可能性が指摘されているからです。細菌性の肺炎についても、NSAIDsを使うと合併症のリスクが高まり、入院期間が長くなる可能性を指摘する論文があります。

新型コロナウイルスは、いずれも、肺、腸、腎臓、血管などの上皮細胞に発現されている「ACE2」という酵素に結合し、標的とする細胞に侵入します。
降圧剤のACE阻害薬またはARB、チアゾリジン系の糖尿病治療薬はイブプロフェンを投与すると、ACE2の発現が上昇して新型コロナウイルスの感染を容易にし、重症化を引き起こす可能性が否定できません。

よって解熱剤を選択するにあたってアセトアミノフェンの方が安心して処方できます。
新型コロナウイルスに対する直接的な治療薬がない現状では、十分な睡眠と栄養を取り、ウイルスと闘う自らの免疫系が十分に働ける体内環境を維持することも大切です。

 

流行続く「新型コロナ」 後遺症を回避するために

現在も新型コロナの流行は1年を通して認められ、まだインフルエンザのような季節型の感染症になっていません。
感染者が減ってくると、新型コロナへの認識が薄れがちです。
感染者が増えたなどの報道がない限り、流行状況を知らない人も増えたのではないでしょうか。
新型コロナについて、どんな変異株がどのくらい流行しているのかといった情報は、自治体のウェブサイトでも発信されています。

新型コロナに感染後にブレインフォグや嗅覚障害、味覚障害などが残ることもありますが、極端に多いわけではありません。
多く見られるのは、倦怠感や呼吸困難感、長引く咳などです。
こうした後遺症は約2割の患者さんに見られます。
5人に1人の割合ですから、決して少なくありません。重症化リスクのある人が新型コロナに感染すると、生命に関わる事態となります。

そのため、特に高齢者や基礎疾患のある人を第一優先としてワクチン接種が推奨されています。
しかし、ワクチンは重症化を抑えられるものの、感染自体をゼロにすることはできません。
そのため、高齢者を含め、ワクチン接種を見送る人もいます。
ワクチンは、免疫系を繰り返し刺激することで免疫が高まり(追加免疫)ます。
高齢者や基礎疾患のある人は接種することを勧めます。
自治体によって異なりますが接種の補助は今年初めまでです。