2008/08/01
タバコの害 8月号
タバコを吸うと肺や喉頭など煙にさらされ、がんのリスクが高まることは良く知られています。煙の中にはタールなどの4000種類もの化学物質が含まれ、そのうち60種類以上が発がん作用があるとされています。
喫煙者の肺がんリスクは非喫煙者に比較すると男性で4.5倍、女性で4.2倍に上昇します(国立がんセンターの追跡調査)。喫煙者のがんのリスクは呼吸器系だけではありません。有害物質は血液に入り全身に循環し、尿にも排出されます。煙は食道を通じて胃にも入ります。ですからさまざまながんと関連があるとさせています。
タバコがやめられない原因はニコチン依存症であるからです。このニコチンは心臓などの血管を収縮させる急性作用があります。喫煙者はすわない人と比べ心筋梗塞などの虚血性心疾患が3倍、脳卒中1.3倍に高まります。
また、近年の研究では糖尿病の発病にも関係が指摘されています。喫煙する妊婦から生まれる子供は平均200-300g軽いといわれています(低体重児)。
近年自殺者が増加していますがこれも喫煙と関係があるとされています。喫煙は本人だけの問題ではなく、周囲の人に煙の害を及ぼします。いわゆる受動喫煙とか間接喫煙といわれるものです。この周囲に撒き散らす煙のほうが有害物質の含まれる量が多いのです。親が喫煙すると子供が中耳炎や喘息、虫歯になりやすくなることは国際的な調査で明らかになりました。
低タールのタバコにすると良いということは一切ありません。むしろ満足感を得るため深く吸い込み逆に被害が大きくなるとの指摘もあります。禁煙の輪を広げタバコのない社会を目指したいものです。当院も禁煙のお手伝いをさせていただいています。飲んで禁煙できる薬があります。実際に使ってみるとかなり有効性が高いように思います。市販のガムやパッチとはまったく違います。
条件を満たせば、保険適応にもなっていますのでヘビースモーカーで禁煙に挫折した方は是非試して下さい。当院は保険適応の認可施設です。
長寿記録、2年連続で更新 女性は世界一 8月号
日本人の2007年の平均寿命は女性が85.99歳、男性79.19歳で、いずれも2年続けて過去最高を更新したことを、厚生労働省が公表した。女性は23年連続世界一。
男性は前年の2位から3位に順位が下がった。平均寿命は女性が06年より0.18歳、男性は0.19歳、それぞれ延びた。男女差は6.8歳で、前年と比べ0.01歳縮まった。国際的な比較では、女性の2位は香港の85.4歳、フランス84.1歳(06年)、スイス84歳(同)と続いた。男性のトップはアイスランドの79.4歳。2位は香港の79.3歳だった。
厚労省は「日本人の三大死因であるがん、心臓病、脳卒中の治療成績向上が平均寿命を延ばす方向に働いた。今後も同様の傾向が続くだろう」と分析している。これらの三大死因が克服されれば、平均寿命は男性で8.25年、女性で7.12年それぞれ延びるとみられる。
長寿記録、2年連続で更新 女性は世界一「何歳まで生きるか」という試算では、07年に生まれた赤ちゃんが75歳まで生きる割合が女性85.8%、男性70.8%。90歳までが女性44.5%、男性21.0%でした。ゼロ歳児が将来死亡する原因として最も可能性が高いのは、男女ともがんだった。心臓病、脳卒中を加えた三大死因による将来の死亡確率は男性55.57%、女性53.02%で前年とほぼ同水準だった。07年の死因別死亡数のうち悪性新生物は全死亡の30.3%になっています。
部位別に見ると男性は肺癌の上昇率が著しく、胃、肝、大腸と続きます。女性は大腸と肺、乳房の上昇傾向が続いています。がんの死亡数が増えていますが、国民の半数の人が80歳以上生きることになります。
女性のほうが長生きする傾向は平均寿命上位国では一般的で、男女寿命差が最も大きい国はフランスで7.6歳だそうです。
年金生活者の増加、それに伴う若い世代の負担増、医療費の負担増と長寿をそのまま喜べないのが残念です。
乳製品からカルシウム摂取、脳卒中発症3割減 8月号
牛乳やチーズなどの乳製品からカルシウムを多く取る人は、ほとんど取らない人に比べて脳卒中の発症率が約3割少ないことが、厚生労働省研究班の大規模調査で明らかになりました。牛乳なら1日130ミリリットル前後、スライスチーズなら1-1.5枚で効果が期待できるという。
研究班は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県在住の40-59歳の男女約4万人を、1990年から12年間追跡し、食事など生活習慣と発病の関係を分析した。
2002年までに、1321人が脳卒中を発症。乳製品から取ったカルシウムの量で5グループに分けると、1日の摂取量が平均116ミリグラムと最も多いグループは、ほぼゼロのグループに比べて脳卒中の発症率が0.69倍にとどまった。大豆製品や野菜、魚など、乳製品以外から摂取したカルシウムでは、効果はみられなかった。カルシウム摂取が多いと血圧が低くなるため、脳卒中予防につながった。
乳製品は他の食品よりも腸での率が数倍高く、効率良くカルシウムが取れたと説明しています。一方、心筋梗塞(こうそく)など心疾患の発症率は、カルシウム摂取の有無と関連がなかった。乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸によって心疾患の発症率が高まり、カルシウムの効果が打ち消された結果と考えられ、乳製品の食べすぎは逆効果になる可能性が高い。
なかなか治らない咳 8月号
最近、咳が続いて内科に行っても風邪と言われるだけで咳止めを飲んでも効果がない方が多いように思います。新聞などで百日咳の患者さんが増えているという記事を見ますが、実際は頻繁に見る病気ではありません。
むしろアレルギー症状の一つである方が多いのです。それに気がつかない医師が多いのです。何ヶ月も咳で苦しんで当院の薬で1週間でよくなるケースはよくあります。念のため咳止めも処方しますが使わなかったといわれた方も結構あります。
原因は各自さまざまと思われますが、夏場はクーラーが原因となる埃、イネ科の花粉症が多いと思われます。
最新鋭の内視鏡が導入されました!! 8月号
今まで以上の高解像度の内視鏡が導入されました。粘膜の自然な色を忠実に再現し、微細な粘膜や血管の構造まで描出する高精細画像が、これまで以上に細かな検査・診断を可能にします。
通常観察では見えにくい微細な粘膜構造や血管構造を可視化して観察することが可能となりました。
画像処理によりトーン強調、表面強調、コントラスト強調の3つのモードを切り替えることにより可能になります。トーン強調は特定の色領域のみを強調することにより、通常観察では見えにくい微細な血管構造を可視化します。
表面強調では、明るいところ暗いところを更に強調して表面付近の粘膜構造や血管構造を見やすくします。コントラスト強調では、輝度の低い部分に色づけすることにより表面付近の凹凸を強調します。
これにより粘膜の構造が更に見やすい画像で観察出来ます。がんの早期発見に更に役立つものと考えます。