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2008年10月

サプリメントの有効性 10月号

サプリメントの有効性 10月号

今の世の中だまし合いの時代で多くの問題が持ち上がっています。
世界的な株安はアメリカの貧困層をだまして住宅ローンを組ませたことが原因となっています。日本の振り込め詐欺もなかなか後を絶ちません。大麻騒動も自分の精神状態を偽るようにしているだけです。薬などでは、実際にそのようなことがあることが知られている。偽薬効果とかプラセボ効果と呼ばれる現象で、有効成分を含まない偽薬を飲ませても患者が薬だと信じれば何らかの改善がみられることがある。だから、新薬の効果を確かめる臨床試験などでは、必ず試験薬投与のデータとともに偽薬投与のデータをとり、偽薬効果を排除してその効果を確認しなければならない。

そんな効果の恩恵があるためか、健康食品やサプリメントと呼ばれる商品群の中にも科学的には際立った効果が確認されていないのに、根強い人気を保持しているものが多くある。たとえば、スッポンは、風説では「高価で体にいいもの」ということになっている。でも、いったいどう「体にいい」のだろうか。国立健康・栄養研究所のサイトにある「健康食品」の安全性・有効性情報(http://hfnet.nih.go.jp/)では、健康食品、サプリメントとして人気のある物質などのデータが豊富に蓄えられている。たとえば、酸素水は一般的に、「スポーツ時の酸素補給や酸素不足から来る疲れなどの体調不良の解消」、「頭がすっきりする」、「ダイエットによい」などと言われています。しかし、その効果を検証した論文は少なく、しかもそれらの論文の結論は、「酸素水」のそのような効果については否定的な内容となっています。それによれば、スッポンは軟らかい甲羅をもつカメの一種。古くは甲だけでなく頭、肉、脂、血も薬用とし、現在でもその肉や血、抽出物(スッポンエキス)は「補薬」(虚弱体質や虚証を補う薬剤)として、俗に「体力衰退」「肺結核」「滋養強壮」などに用いられている。やはり日本では、昔から薬効があるとされてきたようだ。なるほどと読み進むと、「しかし、その作用機序や主な成分の詳細は不明であり、ヒトでの有効性・安全性に関するデータは見当たらない」とある。

民間療法、健康食品、寝具を含む健康器具から美術品に至るまで、多くの商品が「購入者には正確な評価ができない」状況にあり、ときとしてこうしたフィールドは悪徳商法の温床となります。このような「消費者にはまったく評価できない」「ただ信じて買うしかない」商品群の作り手として、エレクトロニクス・メーカーをも巻き込みつつあります。

たとえばプラズマクラスター技術を使った「除菌イオン」のほか、銀イオンの除臭効果を使った「イオンコート」、「塩が作り出すイオンのチカラ」を利用するらしい「イオン洗浄」などがあります。この種のものはほとんどの電機メーカーが独自の技術として売り出しているものです。大手エレクトロニクス・メーカーの説明だから、信頼できるものなのだろう。健康、清潔、除菌といったフレーズに消費者は弱いのである。おりしも米国では金融界がえらいことになっている。景気後退への警戒感は世界を覆い、多くのメーカーが設備投資を凍結し、経費や人員の削減を検討し始めています。そんなご時勢だから、技術者にはこれまで以上に利益確保を求める叱咤の声が浴びせ掛けられることだろう。邪な道に走りたくなる要件は揃っているのである。だまされないよう自分を磨いて下さい。健康食品とは健康を願う人の自己満足を得るもの、せめて毒でも入っていなければよしと考えて下さい。

がん患者・病院別5年生存率調査…単純に病院の優劣を示すものではありません  10月号

がん患者・病院別5年生存率調査…単純に病院の優劣を示すものではありません

「全国がんセンター協議会」(全がん協)が昨年に続き、がん患者の「5年生存率」を公表しました。生存率の分析は、日本全体でがんにかかる人、がんで亡くなる人を減らす「がん対策」の進展に、なくてはならない取り組みだ。28施設という小規模調査で、集計データの基準もばらつきが目立つが、施設名を含む公開は世界的にも珍しい。調査と公表を定着させ、拡大することは良いことと思いますが、単純に病院の偏差値と思われると困ります。「生存率を決める要素は三つある」。国立がんセンターの祖父江友孝がん対策情報センター部長は言う。1.がん自体の悪性度や進行度、2.年齢や合併症など患者自身の要素、3.治療の内容の三点です。祖父江部長は「患者は治療の内容の優劣を知りたいのだろうが、現時点でそれに限定して比較できるデータはそろわない」と説明されています。
今回の調査では、患者の合併症の情報を加味していない。進行度も施設でまちまちだ。数値が大きいほど早期がんの患者が多いことを示す「1期/4期比」が、肺がん、乳がんでは施設間で約50倍も差がある。近年、自前で生存率を公表する病院も出ているが、大半は手術データだけだ。手術のできない患者を含まないと生存率が高くなりがち。今回の調査は抗がん剤や放射線治療の患者も含むが、病院独自発表と比較できるように手術だけのデータも載せています。

昨年4月、がん対策基本法が施行されました。基本理念の一つが「日本中どこでも誰でも等しく、科学的で適切ながん医療を受けられるようにする」ことだ。だが現状はまだ理想とはほど遠い。都道府県でがんの死亡率に差がある。
原因として、死亡率の高い地域は(1)そのがんにかかる人が多い(2)早期発見ができていない(3)病院の治療が悪い――の3点が考えられる。(1)はがんを起こす原因特定と予防、(2)は検診の普及、(3)は治療内容の改善という施策が必要になる。方向性を間違えると、見当違いの対策になってしまう懸念がある。

基本理念を実現させるには、がん患者のデータを病院や地域ごとに登録する「がん登録」が欠かせない。生存率も登録データを基に算出し、現状のがん対策の妥当性を測る指標として使われる。がん対策基本法に基づき、全国350カ所以上の「がん診療連携拠点病院」は院内がん登録が義務付けられ、09年から3年生存率の集計が始まる。だが、労力を要する登録作業にどれだけ対応できるかは未知数だ。特に生存率調査は、各病院が患者の生死を含む消息を住民基本台帳などで調べなければならない。個人情報保護を理由に自治体が協力を渋る例もある。これは大変な労力を必要とします。臨床をやりながら追跡調査をするには限界があります。専門部署が必要です。国民にがん登録の重要性を知っていただきたい。病院の実力を知りたいという患者の関心が高まり、手術数などで病院を順位づける書籍が多数出版されています。将来は科学的に病院の実力順に並べられるだけのデータをそろえられたら良いのですが簡単ではありません。現時点ではこれだけははっきりいえます。良い病院はがん登録に力を入れ、その結果を臨床に生かしている病院とおもいます。

インフルエンザ予防接種を開始いたします。 10月号

今月15日からインフルエンザ予防接種を開始いたします。体調の良いときに受けるようにして下さい。この予防接種は鳥インフルエンザや必ず来たると予想されているいわゆる新型インフルエンザとは違います。あくまでも今シーズン流行すると予想される通常のインフルエンザワクチンです。