2009/02/01
2009年2月味覚障害と舌痛症
味が分からない味覚傷害の方は特に女性に多く見られます。原因にはいろいろあり、服用薬剤によるもの、全身疾患の一つである場合、亜鉛欠乏によるもの、嗅覚障害に伴うもの、舌炎によるもの、口腔アレルギーによるものなど多種多様であります。
薬剤の使用上の注意に、副作用として味覚に関する異常がはっきり記載されている薬剤は、一般名称として150種類以上の多岐にのぼります。これらの多くは副作用に「味覚障害」あるいは「味覚異常」と記載されていますが、「自発性の苦味」に関するものも多く見られます。
亜鉛はヒトの必須微量元素の一つであり、亜鉛酵素として多くの重要な代謝に関与しています。ラットを亜鉛欠乏状態に飼育すると、30%から70%に味覚障害が出現してくるそうです。
亜鉛の多い食品は緑茶、抹茶、カキ(牡蠣)、小魚、ココア、ごま、アーモンド、海草、玄米、そば、黄粉、卵黄、麩、椎茸などがあります。薬として亜鉛を投与もいたします。亜鉛を投与してもなかなか治らない方も多いのが現状です。嗅覚障害に伴うものは嗅覚が戻れば味覚も回復いたします。
結構多いのが舌炎によるものです。当院で舌炎の治療(処置)をしてあげた方はほとんど回復しています。舌が痛いとか違和感がある方は診察を受けて下さい。年齢の影響、神経症、抑うつ状態とかで説明を受けている方も結構多いように思います。
バセドウ病と運動
バセドウ病は甲状腺機能亢進症の一つで、甲状腺ホルモンが過剰に出る状態です。
過剰に出ると心拍数増加、収縮期血圧上昇など心血管系に影響を与えます。また、未治療の甲状腺機能亢進症患者の6から8割の方に筋力低下を起こすといわれています。よって、甲状腺機能亢進症の状態では激しい運動は避けるべきと思われます。
甲状腺機能を評価する値としてFT3,FT4,TSHの3つがありますが、FT3は体内に循環している甲状腺ホルモン、FT4は甲状腺より分泌されているホルモンです。TSHはこれらのホルモンを調整するホルモンです。
甲状腺ホルモン値が正常でもTSHが低い状態は潜在性甲状腺機能亢進症といわれ、心臓の不整脈(心房細動)を起こす確率が5倍といわれています。これはバセドウ病の治療過程で起こりえるものですからこのような場合にも運動に対して注意する必要があります。激しい運動は甲状腺機能が正常化したあとに行うようにして下さい。