2011/10/01
アドレナリン自己注射薬(エピペン)の保険適用になりました
エピペンは2003年に蜂毒による重篤症状への補助治療薬として承認され、05年には食物、薬物によるアレルギーにも使用が認められました。エピペンとはエピネフリン自己注射キットのことで、アナフィラキシーにおける治療の第1選択薬として知られています。今年の日本アレルギー学会春季臨床大会での報告によると、03年の承認から09年までにエピペンは約11万本販売され、解析可能な使用症例(449例)の95%で症状が軽快・回復し、患者に大きな安心感を与えています。一方でエピペンの価格は1本1万2000~1万5000円程度、有効期限も入手から1年あまりで全額自費負担であることから、患者の負担が重く、エピペンの処方をためらっている患者が多かった。しかし、アレルギーを持つ子どもの親や学会から、保険適用の要望が出たため、医政局経済課がメーカーに働きかけて去る9月22日保険適用になりました。3割負担で管理料も含めて約6000円です。
死に至るアナフィラキシーとは
アナフィラキシーとは全身性の急性アレルギー反応のことで、アレルギーの分類でI型(即時型)と呼ばれるものである。具体的な臨床症状としては血管拡張による血圧低下、血管透過性亢進による浮腫、気管支痙攣や上気道浮腫による呼吸困難などです。これらの症状が数分ないし十数分という短時間の間に急速に進行し、呼吸循環不全に陥る。従って可及的速やかに治療を行わなければ、最悪死亡する事も稀ではありません。治療の第1選択はエピネフリンの投与である。エピネフリンの薬理作用は心拍出量の増大と血管収縮、気管支拡張で、これによりアナフィラキシー反応で進行する症状を抑制する。治療は早ければ早いほどその効果は高く、重症化も回避できる。原因物質は薬剤、食物など多種多様であるが、最も典型的なものの1つに蜂毒アレルギーがある。
蜂刺症
蜂に刺されたときは局所を観察し、針が残存するときは人差し指ではじくようにして針を除去する。局所の発赤、腫脹、かゆみなどに対しては抗ヒスタミン剤やステロイド入りの軟膏を塗布する。アナフィラキシー反応の前駆症状として口内違和感、口唇のしびれ、四肢のしびれ、心悸亢進、耳鳴り、腹痛、下痢、悪心、尿意、便意などが認められたときには、厳重な経過観察とともに静脈路の確保の上、輸液や酸素、エピネフリン投与といった初期治療が必要になります。本邦では毎年鉢に刺されて30人前後の人が死亡しているそうです。アナフィラキシー反応によるものと考えられるが、医療施設のない山間部で刺され、初期治療が遅れるケースも少なくない。
エピペン
医療施設のない場所で蜂に刺され、アナフィラキシー反応を起こしたときは、速やかに医療施設に搬送しなければならないが、初期治療すなわちエピネフリンの投与が遅れ、状態の悪化や死亡といった事態を招くことが心配されます。これに対する最も効果的な対策は、エピネフリンを持参し、前述したアナフィラキシー反応の前駆症状が出現した段階で、エピネフリンを自己注射することです。使い方は簡単です。ハチに刺された時のように、皮膚からハチ毒等のアレルゲンが入ったときには、早いときにはハチに刺された後、数分~15分以内には症状がでてきます。それに対し、食物の場合は口から食べて胃や腸で消化・吸収されてからアレルゲンになるため、食後30分~1時間くらいはかかります。アナフィラキシーで気を付けないといけないのは、いったんおさまった症状が数時間後に再発することです。これはいつも起こることではありませんが、おさまったと思って油断しないで、アナフィラキシーが起こったら直ちにエピペンを打ち、医療機関に行って下さい。
ハチに刺された後、食事をとった後、薬を飲んだ後に「おかしい!いつもと何か違う!」体の異常を感じたら、アナフィラキシーの疑いがあるかもしれません。症状の出かたは人によって異なります。少しでも異常を感じたら、考え得る原因をきちんと記録し、医療機関に行って医師に相談しましょう。また、自分でも過去の症状を理解しておきましょう。
アナフィラキシーに対してはできるだけ速やかな対応が必要であることと、それにはエピペンの様な自己注射キットの存在が不可欠です。最後にエピペンおよびアナフィラキシーの詳しい情報は、以下のホームページを参照して下さい。
http://www.anaphylaxis.jp/