2011/11/01
今年のインフルエンザ・・・ワクチン株と不一致例あり注意が必要
国立感染症研究所・感染症情報センターがまとめているインフルエンザウイルス速報によると、最近の10月の発症例は、A型が埼玉県で1件、茨城県6件、山口県と三重県でそれぞれ4件、神奈川県3件、兵庫県2件、東京都で1件が報告されている。B型については、山形系統株が大阪府で1件、系統不明株が茨城県で5件報告されている。夏季の南半球の流行状況などから、今シーズンも混合流行との見方が主流です。その一方で、二つの気になる指摘があります。1点目は、三重県保健環境研究所からの報告。10月下旬に同県で発生した集団感染例のウイルス株はAH3亜型で、今シーズンのインフルエンザワクチン株との反応性が低い抗原性であり、高齢者や乳幼児の重症化には注意が必要であると警告を発しています。2点目は、堺市衛生研究所からのB型の株が昨シーズンと違うという報告です。混合流行との見方が主流である中、亜型の株の種類が異なったり、あるいはワクチン株との反応性が低い抗原性のウイルス株が検出され、昨シーズンとは内容が変化しており、今後のインフルエンザウイルス流行状況には、これまで以上に注意する必要があります。
いずれにしてもワクチン接種は重症化を防ぐことができますので早めの接種をお願いいたします。
せきぜんそく・・・咳が1カ月続くなら病院に
せきぜんそくの患者が増えています。せきが1カ月以上も長引く場合は、この病気の疑いがあります。アレルギーとの関連が指摘されているが、季節の変わり目などに引いた風邪がきっかけになることも多い。代表的な症状は、風邪をひいた後、しばらくして風邪は治ったものの、せきが1カ月たってもなかなか止まらない。近所のクリニックでせき止め薬を処方され、多少は収まるものの咳は続き、夜にひどくせき込んで寝れなくなるほどなります。ぜんそく特有の「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」という呼吸が苦しみはなく、せきだけ続くので単に風邪が長引いていると思ってしまいがちです。しかし、ぜんそくと健康な状態の中間のような状態で、そのまま放っておけば、ぜんそくに移行する例もあります。
風邪などウイルス性の感染症が原因で起こるせきの多くは3週間以内で治まる。症状も少しずつ良くなるのが一般的です。せきぜんそくと診断がつく人の3~4割は寝られないくらいひどいと訴えます。年齢を問わず発症します。咳が続くので百日ぜきなどの感染症とも区別する必要があります。また、せき喘息に炎症を起こして痰も絡んでいる例もあり、診断を難しくする例もあります。環境と関係がありますので感染症と同じように本人の周囲でも同じような症状を訴える人もいます。周りが咳をしていたからと言って感染症とは限りません。
診断は正確な問診とアレルギー歴の有無で可能です。しかし本人はアレルギーがないと思い込んでいる方が結構多い。気道と関連する鼻粘膜から好酸球検査をすればアレルギーの反応の有無が容易に分かります。季節の変わり目に多いと言われていますが、真夏でも症状が出る方がいます。病気の原因は今のところはっきり分かっていない。ただ患者の中にはハウスダストやダニ、花粉、ペットの毛などの物質にアレルギー反応を起こす例が多い。
咳をしていると周囲の方にいやがられますが、せきぜんそくは感染症ではないので、人にうつることはありません。場合によっては肺炎や肺がんなどが隠れているケースもあるのでエックス線やCTなどによる胸の検査も必要です。
治療法は抗アレルギー剤を使い咳の収まり方を観察し、咳が残るようならぜんそくと同様に、口から吸い込む吸入ステロイド薬や気管支拡張薬などを使います。ほとんどは1週間くらい服用するとせきが止まりますが、完全に治ったわけではないので、しばらく治療を続けます。気道の炎症は1~2週間では治まらず、薬の服用を止めると再び悪化することになる。何度も繰り返していると気道の収縮が進んで、悪化しやすくなる。せきが止まっても、きちんと病院に通って治療を継続することが大切です。
せきぜんそくを確実に予防するのは難しいが、ハウスダストやダニなど身の回りにあるアレルギー原因物質を取り除き、感染症や風邪にならないよう体調を整えるようにして下さい。