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2011年12月

2011年12月

慌ただしい年末になってきました。今年は日本にとって試練の時でした。来年こそは良い年であって欲しいものです。今まで暖かかったので、ようやく冬になったと実感できるようになりました。各地でインフルエンザが流行り出しました。
風邪をひかないよう体調管理を忘れないようにして下さい。風邪をこじらすと副鼻腔炎によくなります。寒くなると鼻たらしの子供が多くなりますね。なかなか治らない副鼻腔炎について書いてみました。副鼻腔炎によって中耳炎、耳閉感、頭痛、歯痛、咳、痰、集中力低下など様々な併発症状がおこります。鼻は気道の一部ですから鼻を見れば気管や気管支の状態が推定できます。

いろいろな原因によっておこる慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎とは鼻汁、後鼻漏(鼻汁がのどに流れる)、鼻づまりが3大症状。ほかに咳や痰、頭重感、嗅覚低下、頬部痛、集中力低下など。副鼻腔は4対の空洞の総称で、鼻腔の周囲に小さな穴でつながって、空気が出入りしています。ここに炎症が起こるのです。炎症の原因としてウイルスや細菌感染あるいはアレルギーが関係しています。鼻が出たときかぜといって患者さんが受診されますが最初は風邪かもしれませんがすでに炎症が引き起こされた状態で受診されるのです。感染による化膿性副鼻腔炎はマクロライド療法という抗生物質による治療が普及したことによって、ほとんどが完治するようになりました。一方アレルギーによる慢性副鼻腔炎は好酸球性副鼻腔炎は治りにくく、再発率も高く抗アレルギー薬やステロイドによる治療が必要です。この2つは治療方針が全く異なりますのでその見極めが重要なポイントになります。

化膿性副鼻腔炎・・・鼻腔や副鼻腔は粘膜で覆われていますが、その表面には線毛という細い毛が生えています。その表面には粘液(鼻汁)で覆われています。これらが鼻に入ってきたほこりや花粉などの異物を外に排出するのです。ここに一旦炎症が起こると粘膜が腫れ、鼻腔と副鼻腔とのつながりが悪くなります。また、線毛の動きが悪く汚れた粘液の排出ができなくなり副鼻腔に膿としてたまってしまうのです。現在は抗生物質の進歩により手術をする症例が減ってきました。

好酸球性副鼻腔炎・・・アレルギーが主体でポリープが多発したり、抗生剤に反応しない粘性の強い鼻汁が長期にわたって続く特殊な副鼻腔炎です。子供には少なく、大人になってから発症するのがほとんどです。副鼻腔炎で手術を行ってもすぐにポリープが再発したり、鼻汁が止まらないことがあればこの疾患を疑った方がよい。ステロイドを内服すれば劇的に症状が取れますが、長期投与はできませんので抗アレルギー剤や点鼻薬でコントロールします。喘息を伴うことも多く、吸入ステロイドも併せて継続しなければなりません。時に炎症性の鼻汁も伴いますので注意が必要です。

副鼻腔真菌症・・・空気中にはカビ菌も多く浮遊しています。呼吸と一緒に副鼻腔に菌が入ると副鼻腔の中は湿度が高く絶好の繁殖場所になります。しかしそれほど多い疾患ではないのは線毛によって自然に排出されるからです。風邪やアレルギーで排出される穴(自然口)が塞がれると繁殖します。副鼻腔にカビが入って起こる真菌症を副鼻腔真菌症といいます。無症状のこともありますが圧迫感や痛みで受診されます。ほとんどは片側しか起こりません。抗生剤で治らなければこの疾患も疑います。CT検査も有効ですが副鼻腔洗浄すれば診断と同時に治療も可能ですが真菌塊が残ることも多く内視鏡手術が必要となります。

いずれにしても副鼻腔炎はちょっとクスリを飲めば治る病気ではなく、お医者さんと根気よく治していく病気です。症状がなくなったからと言って「治った」のではなく、落ち着いただけです。医師の指示どおり継続して治療することが肝心です。