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2012年5月

摂食・嚥下障害・・・嚥下内視鏡で原因をつきとめ、飲み込みやすく

摂食・嚥下障害・・・嚥下内視鏡で原因をつきとめ、飲み込みやすく

年をとると、誰でものみ込む力が衰える。毎年、餅を詰まらせて窒息死する高齢者が後を絶たないのは、なかなかこの「嚥下(えんげ)機能」の低下を自覚しづらいからです。日ごろから筋力アップを心がけ、栄養不足を改善する必要があります。食べ物をこぼすようになった、お茶やみそ汁をのんだ時にむせたり、食が細くなり、時間もかかるようになると嚥下機能の低下と考えられます。

摂食・嚥下障害と呼ばれ、うまく食べ物がのみ込めなくなった時に表れる。食事に時間がかかるようになったり、呑み込んだ後の咳や食後によく痰が出るといった症状です。むせると食べ物が気道の方に入ったと分かりますが、この反射が低下している高齢者などはむせは認められないこともあり、知らないうちに肺炎になっていることもあります。肺炎も必ずしも発熱を伴わないこともあり、肺炎の診断が遅れることもあります。

原因は大きく分けて3つがあげられます

①嚥下運動に関する筋肉や神経の障害・・・機能的原因
②舌や食道などにできる腫瘍などによる嚥下組織の障害・・・器質的原因
③認知症など精神活動の障害・・・心因的原因

食べ物を上手にのみ込むには、まず目で見て認識し、口に取り込み、かみ砕いた後に適度な大きさにまとめ、のどに送り、のみ込み、食道まで運ばなければならない。この連係を脳や筋肉、神経、組織の絶妙なタイミングを健康な人は無意識に行っているのです。年をとれば筋力は低下するし、注意力も落ちる。抗がん剤やのみ込む力が衰えると、のどに食物が詰まるだけでなく、食べ物が声帯から気管に入り肺炎を引き起こす。これを誤嚥性肺炎といって肺炎を繰り返します。

自分で十分食事をとれる軽い嚥下障害の人は、食事の前に軽い運動で首回りの筋肉のこわばりをほぐすほか、体操でのみ込む力を維持するためのあごの下から首にかけての筋力アップを始める。呼気筋力を高めるために水の入ったペットボトルに小さな穴をあけてストローをさし、ぶくぶくと吹くのもいい。キャップを強く閉めると、はく力がかなりないと泡は出ません。

このようにあごや胸の筋力を鍛えるだけで改善する方はよいが多くの方は簡単には改善しない。嚥下障害がどこが原因なのか、今後どの様にしたら改善が見込めるのかは嚥下内視鏡などをして突き止めなければいけません。食事に時間がかかる方、肺炎を繰り返す方は是非受診していただきたく思います。ベッドサイドでは診断が難しいので体力が弱くても来院していただくことが必要です。

治療は総合的には耳鼻咽喉科が中心となり歯科口腔外科、リハビリテーション科と連携して行う必要があります。嚥下障害の改善や誤嚥防止を目的として、手術治療が行われることもあります。食べることは人間として最低限の楽しみであり、生きていく上で欠かせない行動です。

高齢化社会の中でこの嚥下障害で困られている方にお役に立てるよう努めさせていただきます。