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2016年2月

ようやくインフルエンザが流行ってきました。インフルエンザのウイルスは、乾燥した状態では6時間後でも60%以上生存しています。一方で湿度を50%に上げると、1時間後にはウイルスは半分以下になり、6時間後にはほぼ死滅します。このため湿度を上げることがインフルエンザ予防には効果的です。冬は空気中の水蒸気量が減っているので、エアコンなどの暖房機器で室内の温度を上げると湿度が下がってしまいます。加湿器などで室内の湿度を一定に保つよう心掛けましょう。また喉や鼻の表面は線毛と粘液で覆われていますが、湿度が下がり乾燥することで線毛の動きが悪くなり、付着したウイルスを外に追い出す機能(鼻腔粘液線毛輸送機能)が下がるといわれます。体の防御機能を保つためにも、湿度を上げることが大切です。

軽視できない頑固な鼻詰まり、副鼻腔炎の恐れも…市販薬の使い過ぎによる症状の悪化に要注意

副鼻腔炎 鼻の穴の奥には、鼻腔(びくう)という空間が広がっている。鼻腔は粘膜で覆われ、吸い込んだ空気から異物を取り除くとともに、適度な湿度と温度を加えて呼吸器に送り込む働きをしている。何らかの原因により、鼻腔の粘膜が腫れ、空気の通りが悪くなった状態が「鼻詰まり」。鼻がつまったとき、多くの人が頼りにするのが市販の点鼻薬だが、使い過ぎには注意が必要です。市販の点鼻薬には、粘膜の血管を収縮させ、一時的に腫れを引かせる成分が含まれている。しかし、すぐに耐性ができて効果が得にくくなるほか、リバウンドによってより強い鼻詰まりをもたらすこともあります。このため、鼻詰まりで悩むようになったら、まずは耳鼻咽喉科を受診して、鼻詰まりの原因を明らかにし、正しい治療を受けるのが大切です。鼻腔は、呼吸器、循環器とも密接に関係しており、鼻詰まりを放置していると呼吸器や循環器に重大な不調をもたらすこともあります。
鼻水、鼻詰まりの原因となる病気といえば、まず思い浮かべるのは花粉症などのアレルギー性鼻炎です。花粉症は季節性で、ハウスダストなどが原因の場合は通年性のアレルギー性鼻炎と呼ばれます。最近は、眠気などの副作用が少ない、優れた治療薬があります。鼻詰まりに対してはステロイド鼻噴霧薬などを上手に併用するとさらに良い効果が出ます。それでもなかなか治らないという人は非アレルギー性鼻炎の可能性があります。これは鼻粘膜がウイルス、細菌、空気汚染、薬物、寒冷などによって刺激を受け、炎症を起こしています。内科などで鼻炎の飲み薬を処方されていても、なかなか鼻水、鼻詰まりが解消されないという場合は、一度、耳鼻咽喉科の専門医を受診し、原因に合った治療を受けたほうがよい。なかには鼻腔の左右を隔てている鼻中隔(びちゅうかく)という壁が曲がって、空気の通りが悪くなっている鼻中隔弯曲症(わんきょくしょう)という病気が潜んでいる場合もある。そして、強い鼻詰まりをもたらす病気の代表として知られるのが慢性副鼻腔炎(蓄膿[ちくのう]症)です。まさか自分が副鼻腔炎とは思わない人も多いが、国内の患者数は100万~200万人ともいわれています。では、副鼻腔炎とはどんな病気か。頬や、鼻筋から額にかけて手で触ったとき、硬い骨があるのを感じるが、その骨のなかにある空洞が副鼻腔です。そこに細菌が感染して発症する。副鼻腔のなかに膿(うみ)が溜まるため、嫌なにおいを感じる。慢性化すると、副鼻腔から鼻腔に通じる穴の周囲に大きなポリープ(鼻たけ)ができて鼻腔を塞ぎ、頑固な鼻詰まりをもたらす。重い副鼻腔炎になると、においをまったく感じなくなったり、顔面に重苦しさを感じたり、頭痛が生じることもある。 鼻詰まりで困ったら、まずは副鼻腔炎がないかどうかを確認したい。鼻詰まりが睡眠時無呼吸症候群をもたらし、知らず知らずのうちに睡眠の質を低下させ、仕事や学業に影響を与えている可能性もあります。さらに、鼻が悪いと気管支の病気を合併しやすくなります。鼻水、鼻詰まりの訴えで訪れた患者さんは呼吸器を過敏にし、ぜんそくを誘発している可能性もよくあります。呼吸が少し『ゼイゼイ』している人は要注意です。ぜんそくを患っている人が発症しやすいのが「好酸球性(こうさんきゅうせい)副鼻腔炎」で、近年は患者数が増えています。国から難病にも指定され、患者数は2万人ともいわれている。早め早めに適切な治療を受けることがとても重要です。のどの痛い人、咳が出る人は必ず鼻を観察させて頂いています。鼻を見れば気管支炎、喘息の可能性の判断にも大きな助けになるからです。