2016/09/05
だるさや寒け…甲状腺が原因?
疲れやすい、イライラする、だるい、やる気が出ない、寒がりになった――。よくありがちな不調の原因は甲状腺にあるかもしれない。最近では妊娠中の甲状腺ホルモン量が妊娠や胎児の発育に関わることがわかってきた。「暑いのに汗をかかない」「寒くて冷房の部屋にいられない」。季節の変わり目、何かいつもと違う・・・実は甲状腺の病気によるものかもしれない。
甲状腺は、のど仏のすぐ下にあって、誰でも触れることのできる器官です。この器官は甲状腺ホルモンを作り、新陳代謝や体の成長・発達、心身活動の調整などに関わる。このホルモンが不足すればだるさや冷え、過剰になれば動悸(どうき)や多汗など、様々な不調を引き起こす。日本で治療が必要な甲状腺の病気がある人は240万人と推計されています。これは、脂質異常症の患者数約206万人を上回る。ところが、実際に治療を受けているのは約45万人にすぎない。というのも、自分が甲状腺の病気だと気づいていない人が多い。血液中の甲状腺ホルモン量は、脳の視床下部が制御している。甲状腺ホルモン量が足りなければ、下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が出て甲状腺の働きを活発にする。逆に、甲状腺ホルモンが多すぎればTSHの分泌量を抑える。こうした制御が利かない状態が、甲状腺の働きが鈍る「甲状腺機能低下症」や働きが異常に活発になる「甲状腺機能亢進(こうしん)症」だ。前者は甲状腺ホルモンが少なく、後者は多くなりすぎる。いずれも女性に多いのが特徴です。
汗をかかない、冷房が辛いなどの場合、低下症の可能性がある。低下症は、手術やがんなどの放射線治療で起こることもあるが、最も多いのが「橋本病」によるものだ。橋本病は自分の体の一部である甲状腺を、異物とみなして攻撃する自己抗体を作り出してしまう免疫の病気。女性の10人に1人にみられる。抗体が甲状腺を破壊すると、血中の甲状腺ホルモンが減り、新陳代謝が落ちて、暑いはずなのに寒く感じるなどの症状が出る。ほかの症状は、だるさやむくみ・便秘など、いわゆる「なんとなく調子が悪い」という不定愁訴が多い。医療機関に行っても、甲状腺の病気と気づかれず、更年期障害や認知症、うつ病など別の病気に間違われることもある。橋本病かどうかは、血液検査で自己抗体があるか、甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの量を調べたりすれば、すぐに診断がつきます。治療は足りない甲状腺ホルモン剤を1日1回飲むだけで、副作用はほとんどない。
一方、甲状腺機能亢進症の代表がバセドウ病です。新陳代謝が活発になりすぎるため、疲れやすさや動悸、イライラ、不眠などの症状が表れる。心臓病や更年期障害と間違えられることがある。橋本病と同様に、血液検査でほぼ診断できる。例えば、甲状腺刺激ホルモンが高いほど流産する率が高いといわれています。妊娠中の甲状腺刺激ホルモンの推奨値を、国際的な診療ガイドラインでは、上限値を日本より低めに設定し、胎児への影響を注意するよう呼びかけている。
この時期、何かいつもより調子が悪いと気づいたら、早めに甲状腺の検査を受けてください。
甲状腺は、のど仏のすぐ下にあって、誰でも触れることのできる器官です。この器官は甲状腺ホルモンを作り、新陳代謝や体の成長・発達、心身活動の調整などに関わる。このホルモンが不足すればだるさや冷え、過剰になれば動悸(どうき)や多汗など、様々な不調を引き起こす。日本で治療が必要な甲状腺の病気がある人は240万人と推計されています。これは、脂質異常症の患者数約206万人を上回る。ところが、実際に治療を受けているのは約45万人にすぎない。というのも、自分が甲状腺の病気だと気づいていない人が多い。血液中の甲状腺ホルモン量は、脳の視床下部が制御している。甲状腺ホルモン量が足りなければ、下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が出て甲状腺の働きを活発にする。逆に、甲状腺ホルモンが多すぎればTSHの分泌量を抑える。こうした制御が利かない状態が、甲状腺の働きが鈍る「甲状腺機能低下症」や働きが異常に活発になる「甲状腺機能亢進(こうしん)症」だ。前者は甲状腺ホルモンが少なく、後者は多くなりすぎる。いずれも女性に多いのが特徴です。
汗をかかない、冷房が辛いなどの場合、低下症の可能性がある。低下症は、手術やがんなどの放射線治療で起こることもあるが、最も多いのが「橋本病」によるものだ。橋本病は自分の体の一部である甲状腺を、異物とみなして攻撃する自己抗体を作り出してしまう免疫の病気。女性の10人に1人にみられる。抗体が甲状腺を破壊すると、血中の甲状腺ホルモンが減り、新陳代謝が落ちて、暑いはずなのに寒く感じるなどの症状が出る。ほかの症状は、だるさやむくみ・便秘など、いわゆる「なんとなく調子が悪い」という不定愁訴が多い。医療機関に行っても、甲状腺の病気と気づかれず、更年期障害や認知症、うつ病など別の病気に間違われることもある。橋本病かどうかは、血液検査で自己抗体があるか、甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの量を調べたりすれば、すぐに診断がつきます。治療は足りない甲状腺ホルモン剤を1日1回飲むだけで、副作用はほとんどない。
一方、甲状腺機能亢進症の代表がバセドウ病です。新陳代謝が活発になりすぎるため、疲れやすさや動悸、イライラ、不眠などの症状が表れる。心臓病や更年期障害と間違えられることがある。橋本病と同様に、血液検査でほぼ診断できる。例えば、甲状腺刺激ホルモンが高いほど流産する率が高いといわれています。妊娠中の甲状腺刺激ホルモンの推奨値を、国際的な診療ガイドラインでは、上限値を日本より低めに設定し、胎児への影響を注意するよう呼びかけている。
この時期、何かいつもより調子が悪いと気づいたら、早めに甲状腺の検査を受けてください。
早期発見が難しい膵臓がん
小さな大横綱といわれた千代の富士(九重親方)が61歳の若さで亡くなりました。死因は膵臓(すいぞう)がんとのことです。他にも竹田圭吾、スティーブ・ジョブズさんなど多数の有名人がこの病気で亡くなっています。医学の進歩で多くのがんは早期に発見できるようになりました。だが医学が発展しても診断の難しい病気がある。その代表が膵臓がんです。膵臓がおなかの奥深くにあり、症状が出にくい。初期には「食欲がすぐれない」「おなかに鈍い感じがある」などしかない。血液検査やX線検査でも発見しにくく、発見されたときには手遅れであることが多いのでサイレントキラーとよばれる。年間に3万人ほどが命を奪われている。膵臓は、食べ物の消化を助けるアミラーゼなどの消化酵素を出す。血糖値を調整するインスリンも出る。膵臓に病変があると、消化不良になったり糖尿病になったりする。急に糖尿病になって膵臓がんが発見されることもある。診断しにくいとはいうものの、近代医学は挑戦し続けている。血液検査では「CA19-9」などの腫瘍マーカーが役立ちますが、陽性率は50%ぐらいです。超音波、CT・MRIなどの画像診断、内視鏡の検査などで診断ができる。治療はがんを取り除く手術が基本で、化学療法も併用される。難敵だが、早期に発見し適切な治療を受ければ完治も可能ですが、5年生存率は数%です。これは早期発見の難しさを示しています。