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2017年3月

「お酒でクスリを飲む」…誰もが気になるアルコールと薬の関係

「お酒でクスリを飲む」…誰もが気になるアルコールと薬の関係

 花粉症の季節がくると我々は抗アレルギー剤を処方されます。飲酒をされる方は、朝・夜の薬や夜だけ飲む薬を処方されると、夜飲む薬はアルコールを摂取した後に飲むことになります。しかし、薬は『水で服用』が大原則です。では一体、なぜアルコールと薬を一緒に飲んではいけないのだろうか? 
アルコールは多くの薬の働きに影響を及ぼします。その影響は薬によっても異なりますが、薬の作用や副作用を増強してしまう危険性があります。その理由はアルコールも薬も肝臓で代謝されます。その際、使われるのがCYP2E1(チトクロームP450)などの代謝酵素です。通常の人が薬とアルコールを併用した場合、この酵素を双方で奪い合う形になるのです。肝臓で分解、排泄されるべく計算された量より少なくなり、より多くの薬の成分が体に残ることになります。薬理効果を促進させる薬の一例として、血栓症の治療に用いるワルファリンが挙げられます。通常の人がアルコールと併用すると効き過ぎてしまい、出血する恐れがあります。脳など出血する場所によっては、命にかかわる重篤な症状を引き起こす可能性があるのです。市販薬で注意が必要な薬もたくさんあります。例えば、痛み止めや風邪薬に含まれているアセトアミノフェンは、通常、グルクロン酸抱合、硫酸抱合、CYP2E1による3種の代謝経路を中心に体外に排出されます。アルコールによる肝毒性の代謝物質が増加、蓄積して肝障害を起こします。
花粉症の季節では、アレルギー性鼻炎の薬を飲む方が多くなりますが、昔の薬は、アルコールとの併用で眠気が増すといわれていました。最近では、中枢神経抑制作用が少ない医薬品が開発されており、状況は変わりつつあり、中枢神経に対する作用は薬剤によって程度の差がありますが、お酒と一緒に服用するのは避けたほうがよいです。花粉症で毎晩飲酒される方はアレルギーの薬を朝1回服用したり、点鼻薬のみにしたりと考慮できますので是非ご相談ください。抗アレルギー剤を処方するとき飲酒を考慮している医師はほとんどいませんので、患者さんから申し出る必要があります。
そもそも病気で薬を飲んでいるときは、お酒を控えるのが常識です。体重、性別などによってアルコールの体内消失時間は異なります。アルコール健康医学協会では、体重約60kgの成人男性で、1単位(純アルコール20g=ビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合)のアルコールが体内から消えるまでに約3~4時間かかると説明しています。このため、飲酒後に薬を飲む場合は、最低3~4時間は空けてください。
では、薬を飲んだ後の飲酒はどうなのだろうか。飲み会前の胃腸薬はどうでしょうか。薬の代謝速度・排泄速度(半減期)は薬によって異なりますので、薬を何時間前に飲んだから大丈夫ということは一概には言えません。ただし、胃粘膜の保護・修復を目的とする胃薬、肝臓の保護が目的のドリンク剤は、飲酒の前に飲んでも大丈夫です。
購入時には飲酒前に飲んでいいかを確認するようにしましょう。