2017/04/11
体を動かし認知症防ぐ
温かくなると体を動かしたくなります。体を動かし、認知症を予防しようという取り組みが広がっています。「コグニサイズ」を知っていますか。コグニション(認知)とエクササイズ(運動)の造語で、国立長寿医療研究センターが提唱した運動です。歩くだけでなく、決まった数の時に脚を横に出す、手をたたくといった課題を同時にする多重課題運動療法のことです。
たとえば「1歩目と4歩目に横に大きく踏み出し、3の倍数で拍手して」といった動作。研究では認知症の発症や進行が遅くなり、脳血流が良くなり、記憶にかかわる海馬などの体積が増加したそうです。記憶力や判断力などが衰え、徐々に日常生活も難しくなる認知症。2025年には700万人に達するとの推計もあります。平均寿命が男女ともに80歳を超える長寿社会を楽しむためにも記憶力を維持・強化したい。記憶力は、ものを覚える力と思い出す力に分かれる。思い出す力は中年期以降ゆっくり減退するが、覚える力は20歳から急な下降直線をたどる。今ある記憶力を保つために大事なのは、日常の生活習慣を調えること。まず、毎朝同じ時間に起床。そして他人のため何かをするという意味で、何らかの『仕事』を続けるのが大切です。さらに高齢になってからは、経験を積極的に他の人に語ることで記憶力が維持される。つまり、記憶を頻繁にアウトプットしていく。経験したことを家族や友人に語るほか、メモや写真を使って日記やブログを書くのもよい。人に説明しようと思えば、対象をきちんと理解することが必要だ。
一方、健康増進のために、よく「1日1万歩を目標に歩こう」と言われますが、実は、漫然と歩くだけでは、いくらやっても期待するほどの健康効果は得られず、場合によっては逆効果にもなることが分かってきました。1日1万歩のウォーキングに効果がないわけではありませんが、筋肉は普段より強い刺激がないと太く、大きくはならない。
インターバル速歩とは、ややきついと感じるくらいの「早歩き」と通常の速度の「ゆっくり歩き」を3分間ずつ交互に繰り返す健康法。多くの人は加齢とともに骨密度が減ったり、人体最大の“熱生産工場”である筋肉の量が減ることで体温が低下したりし、病気を引き起こしやすくなります。しかし、運動により体に適度な刺激を与えることで、骨密度や筋肉量の低下、ひいては体温の低下を防ぐことができるからです。
質とはどれだけの強さで踏み込んで歩いたかという『運動強度』。これまでは『歩数』だけを気にする方が多かったと思いますが、実はどれだけの運動強度で骨や筋肉に刺激を与えることができるかが運動においては重要です。頭を使いながら有効な運動を心がけましょう。
音は聞こえても、言葉が聞き取れない
加齢性難聴には、主に3つの特徴がある。
1つは、音は聞こえても、言葉が明瞭に聞き取れないこと。例えば、テレビの音は聞こえても、会話が聞き取りにくいため、ボリュームを大きくしていることを、家族などから指摘されるケースがあります。職場では、会議での会話が聞き取りづらい、理解しづらいといったことで苦労する場合もあります。
2つめは、生活習慣病と関連すること。高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病があると、血のめぐりが悪くなることで耳の中の毛細血管が詰まり、聞こえが悪くなります。
そして3つめは、遺伝的な要素。加齢性難聴のなりやすさには個人差があり、それを決めているのが遺伝的な要素です。親なども50代、60代で早期に難聴になった家系の人は、そこに生活習慣病や騒音といった環境因子が加わると、やはり若いうちでも加齢性難聴になりやすいといわれています。
健康診断で行われる聴力検査は「選別聴力検査」というもので、自覚しにくい難聴のスクリーニング(拾い上げ)を目的としている。「オージオメーター」という機器とヘッドホンを用いて、低い周波数の1kHz、高い周波数の4kHzの音をある音量で聞き、聞こえたタイミングで正確に応答ボタンを押すことができれば、特に問題のない「所見なし」とされる。だが、一方、加齢に伴って起こる加齢性難聴は、8kHz以上の高音域から聞こえにくくなるため、ごく初期では職場健診で見つけるのは難しい。ちなみに、1kHzの音は、日常会話に必要な聴力を検査するために使われる。
健診で見つかることが多いのは、医療機関を受診するような自覚症状がほとんどなく、ゆっくりと進行する慢性の感音性難聴です。初期の加齢性難聴は健診では見つかりにくい。言葉の聞き取りにくさや生活習慣病があれば、耳鼻咽喉科で正確な検査をしてください。