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2018年4月

難聴リスク、若者の耳に迫る 大音量ライブやイヤホン

耳鳴りや、音を大きく感じたら早く耳鼻科受診を
突然大きな音を聞いたり、長く大きな音に暴露されていると起こる音による外傷
いわゆる音響外傷です。耳鳴りや、音を大きく感じる聴覚過敏といった症状が出ます。
 今までは騒音下の環境で働く労働者に多く見られましたが、最近若い世代で難聴になる人が増加しています。かつてより、音楽ライブに積極的に足を運ぶ人が増え、イヤホンで必要以上の音量で音楽を聴くケースが目立つようになったからです。

音楽プレーヤー「1時間以内」を  世界保健機関(WHO)の資料

1日当たりの許容時間
100dB ドライヤー 15分
95dB バイク 47分
85dB 自転車 8時間
80dB 目覚まし時計 25時間

11億人の若者が将来、難聴になる危険がある――。WHOは15年、世界の中所得国以上で暮らす12~35歳のうち、およそ11億人が難聴になる危険があると発表しました。ライブや携帯音楽プレーヤーの増加、クラブなどの施設で大音量で音楽に接する機会が増えていることが理由です。ぴあ総研によると、音楽ライブは2015年、5万6042回で、5年前と比べ約7千回増。ライブへ行く人も4486万人と2千万人近く増えた。日ごろは、ツイッターなど対面しない形の交流サイト(SNS)に慣れ親しんでいる分、時には、同じ場所に集まって顔を合わせるライブなどが新鮮な交流手段として受けているようです。WHOは同年齢の半分近くが、携帯音楽プレーヤーやスマートフォンで日ごろから大音量で音楽を聞いていると指摘。ライブなどのイベントで耳の健康を害するほどの音量にさらされている若者も4割いるという。対策としてWHOは、音楽プレーヤーの使用を1日1時間以内にすることや、騒音が激しいところでは耳栓を使うことなどをすすめる。また、ドライヤーやバイク、自動車などの騒音を例に、1日に聞いてもいい許容基準を示し、注意を促しています。音響外傷は体調も影響するという。疲労や寝不足、アルコールをとった状態では耳へのダメージが大きい。体調を整えるのも予防策のひとつです。電車でイヤホンを使う際は、車内アナウンスが聞こえないほど音量を大きくするのは危険です。周りの音が大きくなれば音量も上げる。これを繰り返すと、音量の大きさに気付くことすらできないので注意必要です。

補聴器、使用率低迷の日本

 補聴器の品ぞろえが増えたことで、需要はじわりと伸びている。日本補聴器工業会によれば、補聴器の国内出荷台数は増加しているそうです。とはいえ、難聴者に対する補聴器の使用率で見ると、英国42%、ドイツ35%、米国30%に対し、日本は14%と低い。日本では補聴器を購入する際の補助金が少ないほか、販売員の公的資格が確立されていないことが関係しています。欧米では補聴器販売業者に公的資格制度があり、医師による診断を経て「オージオロジスト」などと呼ばれる有資格者が聴力検査や耳型採取などを手掛ける。日本では購入に医師の診断は必要なく、認定補聴器技能者と呼ばれる民間資格の保有者の配置も義務づけられていない。インターネットで購入したり、店頭で薦められるままに買ってしまい、「合わなかった」といって使わなくなることがよくあります。
 補聴器が普及するうえで課題となっているのが価格の高さです。日本での補聴器の普及価格帯は片耳あたり15万~20万円。高級品だと両耳で100万円かかる製品もある。日本では補聴器は保険適用にはならず、高度の難聴と診断された身体障害の認定を受けた人だけが支給されます。英国では国が指定する製品であれば、難聴の程度にかかわらず国から無償で提供を受けられる。今後は一律の基準で税控除が受けられるようにするなど、補助制度自体の改善も求められます。