2018/05/11
脱水症に注意する季節
気象庁によると、2018年4~6月の気温は平年に比べ高くなる見込みです。
今年は春のうちから脱水対策が必要です。季節の変わり目は自律神経のバランスが崩れ、暑さに順応しにくい。今年のような急激な暑さは脱水を招きやすくなります。
脱水とは、体の中の水分と塩分などの電解質が不足した状態。体重の1~2%相当が減るとのどの渇きや尿量の減少がみられ、体重の3~9%分が減ると、全身の倦怠(けんたい)感や頭痛、めまい、血圧の低下などが起こります。脱水が怖いのは、血液の流れる量が減り、心筋梗塞や脳梗塞の原因になることです。特に注意が必要なのが高齢者。加齢により体液の貯蔵庫でもある筋肉量が減り、体に水分を蓄えにくくなる。腎臓の機能も落ち、体内に水分や電解質を留める力も低下します。高齢者は食べる量が減り、のどの乾きを感じにくくなるのに加え、頻尿や失禁を恐れて水分や電解質を十分に摂取しない傾向がある。
一方、乳幼児は大人に比べると多くの水分が必要だが、体重に比べて体表面が大きく、気づかぬうちに水分を失っています。発汗や腎臓の機能が十分に発達しておらず、脱水を起こしやすい。自分ではのどの渇きを訴えられない乳児の場合、機嫌が悪いといったサインを見逃さないことが大切です。
脱水の最大の予防策は、こまめに水分と塩分をとること。発汗以外に呼気や皮膚から水分が出る不感蒸泄(せつ)は、成人で1日約500~900ml に上る。脱水というと暑い中での作業時に起きる症状というイメージがあるが、エアコンの効いた屋内でも起こります。特に高齢者は、喉が渇かなくても水分補給が必要です。水分補給のタイミングは、就寝や入浴、運動の前後と運動中、外出前や飲酒後です。
効果的に水分と塩分を吸収するには、経口補水液(大塚製薬OS-1などでいわゆるスポーツドリンクとは違います!)が適しています。適度な塩分とその吸収を促す糖分がバランスよく含まれているからです。いわゆるスポーツドリンクは経口補水液に比べ、塩分が少なく糖分が多く、飲み過ぎないように。食事をしっかりとることも脱水予防につながる。通常、成人が1日に摂取する水分は約2.5リットルで、うち1リットルは食事から取っている。十分な水分を蓄えられる体にするため、適度な運動で筋肉をつけることも大切です。
正しい歩き方で健康寿命を延ばしましょう…股関節の役割
股関節とは、太ももの付け根にある関節で、上半身と下半身をつなぐ、体の中で最も大きな関節だ。胴体と両脚をつなぐジョイント部分となっている股関節。立ち上がったり座ったりするときの動作の要となり、上体をまっすぐ立てるときの支点にもなっている。この股関節には我々の想像以上の負荷がかかっている。通常の歩行時には、体重の3~4.5倍、ジョギング時には体重の4~5倍、階段の上り下りには体重の6.2~8.7倍という負荷がかかります。ひざや腰の関節にかかる負荷よりも大きく、股関節はそれだけ、ダメージを受けやすい。
女性は妊娠中に大幅に体重が増加しやすく、さらに高齢出産の場合は加齢により股関節の軟骨を傷めるリスクが増える。子どもを抱きかかえる子育てによっても股関節には相当の負荷がかかる。このような理由から、女性は男性よりも変形性股関節症を発症しやすく、当院の患者の男女比率は『女性7:男性1』となっており、圧倒的に女性に多く発症します。股関節に負荷をかける最も大きな要因の一つは、肥満です。体重が重くなるほど股関節にかかる負荷が大きくなり、股関節を傷めやすい。運送業など、日常的に重いものを持ったり運んだりする仕事をしている人も、肥満と同じく股関節に負荷が蓄積されやすい。激しいスポーツもリスクを高める。
大事なのが、日々の歩き方だ。知らず知らずのうちに股関節に負担をかけるような歩き方をしてしまっている場合がある。正しい歩き方とは踵(かかと)から着地して歩くこと。この歩き方によって、足首やひざ関節が連動しながら着地の衝撃をうまく吸収し、股関節にかかる負荷や衝撃を最小限に減らすことができる。正しく股関節を支えるためには、股関節周囲の筋肉を鍛えることが重要です。
また、姿勢よく正しく歩行するためには体幹、上肢の筋力も重要になります。スクワット、腹筋運動、腕立て伏せの3つの筋トレは、誰でもなじみのある基本的なものです。スクワットは、下半身の筋肉を鍛えることによって股関節を安定化させ、足運びを軽くする。腹筋運動は体幹を鍛えることにつながる。腕立て伏せをすると、胸をしっかり広げて姿勢を正すのがスムーズになる。日々運動をして股関節を傷めないようにし、健康寿命を延ばしてください。