2018/06/05
肺炎は3番目に多い死因・・・誤嚥性肺炎を予防しましょう
近年、人口の高齢化に伴い肺炎による死亡者数が増加し続けている。
わが国における肺炎死亡者の多くは65歳以上の高齢者であり、2011年には脳血管疾患を上回り、肺炎は日本人の死因の第3位となった。
高齢肺炎のほとんどは加齢に伴う嚥下機能低下を背景とした誤嚥性肺炎である。
加齢、身体機能低下に伴う身体活動低下、嚥下機能低下に伴う栄養摂取量低下の結果、全身や嚥下関連筋群のサルコペニアが進行し、サルコペニアによる嚥下障害へと移行する。
肺炎の典型的症状は発熱、咳、痰などであるが、これらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロとなる、などの非特異的な症状のみがみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴でもある。
誤嚥性肺炎は嚥下障害者に生じる肺炎であり、その診断には肺炎の確認(画像診断や炎症反応、肺炎症状の確認)と嚥下障害・誤嚥の確認が必要である。
しかし、誤嚥のリスクである嚥下障害を認めても、肺炎が誤嚥によって生じていることを直接確認することは困難な場合が多い。
誤嚥性肺炎予防に欠かせない3つの柱・・・ADL維持(活動量確保)と栄養管理、口腔ケア
誤嚥性肺炎は、誤嚥したことだけで発症する疾病ではない。
発症には、誤嚥に伴って呼吸器に侵入した微生物の病原性や量、侵入の深さという侵襲性のほかに、個体の抵抗力が関与する。抵抗力には、誤嚥物の喀出力(咳嗽反射、気道粘膜機能)と免疫力がある。そのため、抵抗力を維持・向上するために栄養状態を良好に保つ努力が必要である。近年考えられている低栄養高齢者に対する栄養管理の基本は、筋肉の量・機能に目を向けることである。
誤嚥性肺炎を発症する高齢者の多くは、筋量減少と筋機能低下です。ADL(日常生活動作)支援や活動量確保と栄養量確保が必要です。誤嚥性肺炎を発症する高齢者の多くに、ADL低下と低栄養を認めるからです。在宅高齢者の介護サービス利用は、ADLを維持するという面から誤嚥性肺炎予防のひとつになります。また、積極的な栄養量確保、栄養指導も同様です。ADL維持や活動量確保という取り組みの第一歩は日中起床である。起床とは、上体を起こし、頭部の重量を首で支えて、嚥下筋筋力低下を防ぐとともに呼吸機能の維持にも重要です。
口腔ケアによって肺炎発症率を下げることができることも実証されています。口腔ケアは誤嚥性肺炎の元となる微生物の量を減らすほか、食べる機能を維持する、という意味も含んでいます。
嚥下機能の評価は耳鼻咽喉科で行っています。
むせることが多いとか度々肺炎になるような方は耳鼻咽喉科で咽喉頭の機能評価をすることをお勧めいたします。