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2019年2月

花粉症とがん

 

 がんは男性の3人に2人、女性の2人に1人で発症する国民病です。一方、花粉症も多くの日本人を悩ましていて、この10年間で患者数は5割近くも増えています。花粉症に悩む方に朗報があります。こうしたアレルギー症状をもつ人では、膵臓(すいぞう)がん、大腸がん、脳腫瘍などの発症リスクが低下するという調査結果が出ています。理由は十分には解明されていませんが、アレルギー症状を持つ人はがんに対する「免疫監視機構」が強化されている可能性があります。私たちの体内では、年齢とともに遺伝子に傷が積み重なり、毎日たくさんのがん細胞が発生しています。しかし、免疫細胞が常にがん細胞を監視し、水際で殺してくれています。ただ、がん細胞はもともと自分の細胞ですから、免疫が異物と認識できない場合があります。免疫の監視を突破して増殖し、塊をつくったものががん病巣です。もっともぼうこうがんや前立腺がんは花粉症の人にかえって多いというデータもありますから、過信は禁物です。
環境省は2月1日、全国各地で観測した花粉飛散量のデータの公開をホームページ上で始めました。5月末まで、リアルタイムで飛散状況を確認できます。「はなこさん」で検索してください。

社会的ジェットラグ(時差ボケ)慢性的に心身の健康に影響

 

 生活上の事情で睡眠のリズムが狂う「社会的ジェットラグ(時差ボケ)」が問題になっています。人には睡眠をはじめ生理状態の1日のリズムをつかさどる「生物時計」が備わっていますが、これと社会生活上の時間のミスマッチが起きることや、それに伴う心身の不調のことを社会的ジェットラグと呼びます。睡眠時間の減少や体調不良につながり、仕事の効率低下や生活習慣病の原因にもなります。
社会的ジェットラグが心身に及ぼす影響は通常の時差ボケの場合とよく似ているものの個人差も大きい。午前中に能率が上がる人を「朝型人間」、夜に調子が上がる人を「夜型人間」と呼ぶが、これはその人の体内時計のタイプの違いによる。国立精神・神経医療研究センターなどの調査によると、日本の成人の10%が強い夜型、20%が夜型で、30%が朝型、40%が中間型という。
この中で社会的ジェットラグの影響を特に受けやすいのが夜型の人です。遅くまで起きていることが多い半面、現実生活では出勤や登校、家事などのため早朝に起きる必要があるため、朝型や中間型に比べて睡眠が十分にとれず、いわゆる「睡眠負債」をため込みやすくなる。その結果、休日に寝だめをすることになる。そして、平日の前半に起床困難、眠気、集中力の低下といった心身の不調を感じる。これが社会的ジェットラグの典型的なパターンです。年齢が若いほど社会的ジェットラグは大きく、30代までの半数が1時間以上の社会的ジェットラグが認められているとの研究結果があります。社会的ジェットラグは、海外渡航やシフトワークの場合と比べて時間のズレの度合いは小さいものの、慢性的に心身の健康に影響することが、海外での研究で明らかにされました。生活習慣病や精神状態への影響も指摘されている。ニュージーランドでの調査では、肥満やメタボリックシンドロームの数値が社会的ジェットラグが大きい人ほど有意に高かった。またブラジルの調査では、社会的ジェットラグが2時間を超えると、抑うつ症状が有意に強くなることが判明したそうです。
対策として、よい眠りや目覚めのためには体内リズムを整えるのが重要となる。リズムが乱れがちな週末も、寝る時間と起きる時間を一定にすることが必要です。思うように睡眠時間をとれないのは現代人の宿命ですが、夜型生活や無理な朝活を見直すなど工夫の仕方をする必要があります。眠っているときと起きているときのメリハリを付けることが大切です。朝起きたらできるだけ朝日を浴びる。日光のような強い光は体内時計をリセットする効果があります。また昼2時すぎに眠くなるのは正常な体内リズム。昼食後に10~20分仮眠するのはリズムを整えるのによい。就寝直前にスマートフォンなどを見ると、寝付きが悪くなるので注意しましょう。