2021/06/03
更年期障害と間違われやすい甲状腺疾患 30~50代女性は橋本病に注意
橋本病は、生命維持に欠かせないホルモンの1つ、甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。甲状腺機能に異常をきたす病気の中で最も多い病気で、全人口の約3〜5%の方がなっています。圧倒的に女性に多く、中でも30~50歳の女性が多いのが特徴です。遺伝が関係する傾向もあります。
橋本病は、何らかの理由で自分の体の組織を異物とみなして攻撃する抗体(自己抗体)ができる、自己免疫疾患の1つです。甲状腺に炎症を引き起こす自己抗体ができるために、甲状腺が慢性的な炎症を起こして腫れるようになり、正常な組織が少なくなり、甲状腺機能が下がります。
そのため、橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれます。
健康診断の触診で首の腫れを指摘されて見つかるケースが多く、確定診断には、触診のほか、血液検査や超音波検査が用いられます。
血液検査で甲状腺に対する自己抗体が陽性となり、触診で甲状腺の腫れ、または超音波検査で甲状腺の炎症が確認されると、橋本病と診断されます。
橋本病は、甲状腺機能の低下をきたす病気の1つですが、実際に甲状腺機能が低下する人は4〜5割にとどまります。
橋本病と診断されても、甲状腺機能が正常範囲であれば薬を使わず、大体1年ごとに甲状腺機能検査を受けて経過観察します。
治療は、飲み薬で、不足する甲状腺ホルモンを補います。
甲状腺そのものを治すことはできません。
甲状腺機能が低下してくると、寒がりになる、倦怠感、肌の乾燥、便秘、太るなどの全身症状が現れます。
これらの症状は、更年期を境に現れるサインとよく似ており、更年期障害を疑って、橋本病の発見が遅れやすいのが問題です。ただし、多くの症状は共通しますが、橋本病でホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)を起こすことはありません。
橋本病で見られる主な症状
□のど仏の下が腫れている
□眠くてだるい、疲れやすい
□寒がりになった
□過食していないのに太った
□便秘するようになった
□物忘れが増えた
□動作が緩慢である
□肌が乾燥する
□むくむ
□ 悪玉コレステロール(LDH)が増えた
□声がかすれる
橋本病には遺伝が関与するため、母親や叔母など、近親者で甲状腺の病気になった人がいれば、 30-40代のうちに健康診断の時に甲状腺機能を調べるオプションで検査を追加することをお勧めします。
急がれる新型コロナワクチン接種
英国型やインド型など新型コロナウィルスの変異型が世界各地で広がる中、米ファイザー製のワクチンが変異ウィルスにも高い効果があることが海外の接種結果から明らかです。
警戒されるイ ンド型でも効果はほぼ落らないようです。
よく似たワクチンの米モデルナ製も同様とのことです。
ただ、高い効果には2回の接種が欠かせず、着実に接種を進める必要があります。
ワクチン接種は 変異型への感染による被害を防ぐだけでなく、ウィルスの流行を抑えることで新たな変異型の出現を阻止するという意義もあります。
接種の加速が求められています。
気になるのは感染すると 重症化や早産のリスクが高まるとされる妊婦の対応です。
接種すれば重症化リスクは低くなるが、 本人や赤ちゃんへの影響は十分にはわかっていません。
妊娠中の女性がコロナに感染した場合、重症化や早産のリスクが高まることがわかっています。
米疾病対策センター(GDC)によると、集中治療室の治療が必要になるリスクは約3倍、死亡率も約1.7倍に高まる。
妊婦は胎児の影響で 呼吸への負担が大きく、免疫状態も低下しているためです。
米CDCは4月、米ファイザー製や米モデルナ製のようなメッセンジャーRNAワクチンを対象に接種を推奨すると発表。
英イングランド公衆衛生庁も妊婦は一般女性と同時にワクチン接種を行うべきだと勧告しています。
世界保健機関(WHO)も妊婦へのワクチン接種の利点を上回るリスクがあると考える理由はないとしています。
医師などにもよく聞いて納得した上で判断してください。