【営業時間】9:00~12:00 15:30~19:00
TEL.059-244-2222

2024年5月

年を取っても朝までぐっすり眠るための生活習慣

 年を取ると夜が明ける前に目が覚めて、そのまま眠れなくなってしまう人も珍しくない。また、トイレなどで夜中に何回も目を覚ますようになり、「朝までぐっすり眠る」ことは難しくなってくる。若い頃は、いったん眠ってしまえば、朝まで一度も目を覚まさずに眠り続けることができたと思います。
睡眠の重要な役割は日中の心身の疲れを回復する休養です。年を取ると一般に日中の活動量は若い頃より少なくなり、肉体を維持するための基礎代謝も下がってくる。基礎代謝とは、呼吸や消化など、肉体を維持するために最低限必要なエネルギー消費量のこと。年を取るとそれが下がるため、疲れを回復するためにたくさん眠る必要がなくなっていく。加齢に伴って、深い睡眠が減るとともに、トータルの睡眠時間も減ることが分かっています。
加齢による睡眠の特徴
1. 体内時計のリズムの変化。
多くの研究から、加齢によって体内時計が前倒しになっていくことが確認されている。多くの人が実感しているように、夜に眠くなる時間と、朝に目が覚める時間が、いずれも早くなっていきます。朝早く太陽の光を浴びると、目覚める時間も早くなっていく。これが続くと、夜も早くに眠くなっていきます。
2.わずかな刺激でも目を覚ます
 加齢により眠りが浅くなってくる。年を取ると自律神経の機能が低下してくるため、就寝前の放熱もうまくいかなくなる。深部体温(脳の温度)が低くなって深い睡眠になるところ下がりにくいため高齢者の睡眠が浅くなります。軽い尿意やちょっとした物音でも高齢者は目を覚ましてしまうのです。
良い睡眠を得るためには
 布団に入る時間も早くなると、どんどん朝型にシフトしていき、必要以上に早起きしてしまう。こうした早朝覚醒の対策としては、朝のかなり早い時間から光が目に入らないようにすること。対策として厚手のカーテンや遮光機能のあるカーテン、雨戸を使い、寝室には太陽の光がなるべく入らないようにする。
夜は早く眠らないようにするために、夜間室内の照明を明るくする。パソコンやスマホから出るブルーライトは悪者扱いされることが多いが、早朝覚醒に悩む人にとっては気にする必要はない。
夜中に目が覚めてしまう対策として、運動を習慣化すること。15分のウォーキングなど負荷の低い運動でも、毎日続けると効果が期待できます。
アルコールはリラックス作用があるので寝つきだけは良くなりますが、睡眠後半でレム睡眠が増加し、中途覚醒や早朝覚醒を増やす作用があり、禁酒が必要です。自然な眠りのリズムではないため、睡眠の質は悪く、昼間の眠気の原因にもなります。眠れないからと寝酒に頼るくらいなら、睡眠導入剤を飲んでしっかり眠っていただいた方が体に良いです。

就寝の2~3時間前に入浴することで、人為的に深部体温を上げる。すると、熱放散が始まったときに、深部体温が下がるカーブが自然と大きくなることで寝つきが良くなります。

良い睡眠を得るためには、毎日、ほぼ決まった時間に布団に入り、十分な長さ(目標は7時間以上)の安定した睡眠をとることが理想です。

一方で、疾患が不眠の原因となっている場合もある。例えば、不整脈や狭心症などの循環器系の病気があると、中途覚醒を起こしやすい。前立腺肥大症や糖尿病が原因で起こる夜間頻尿も、中途覚醒に直結する。胃潰瘍、逆流性食道炎など消化器系の病気による不快感や痛みから入眠障害や中途覚醒が起こることもある。うつ病などの精神系の病気も、不眠を引き起こす。

 なかでも睡眠の質を下げる代表的な病気として知られているのは、閉塞型睡眠時無呼吸症候群です。「いびきがひどい」、「睡眠中に呼吸が一瞬止まっている」などと言われたことがある人は、検査を受けた方が良いと思います。

 布団に入ると脚がむずむずして眠れなくなるむずむず脚症候群という病気もある。睡眠時間が減ることで疲労感や眠気が残り、うつ病や不安障害につながることもあります。原因ははっきり分かっていない部分もあるが、最近は薬物治療できるようになりました。