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2024年8月

食道がんのリスクは「お酒」

夏は冷えたビールがおいしいですね。飲酒で顔が赤くなりやすい人は要注意の話です。
 喉から胃までつなぐ「食道」。他の消化管と同様に、食道にもがんができる。そして食道がんには、同じ消化管のがんである胃がんや大腸がんと比べて、
・転移しやすい
・一か所でなく食道に多発することが多い
・重複がんといってのど(咽頭・喉頭)や胃などにも同時にがんができることが多い
といった特徴があります。

食道がん発症における最大のリスクは「飲酒」です。
お酒を飲むと顔面が紅潮する人と、顔色が変わらない人がいる。食道がんになりやすいのは、顔が赤くなる人です。この体質の人は「フラッシャー」と呼ばれています。
フラッシャーの人がアルコールを摂取すると、顔などの毛細血管が拡張して赤くなる。そこに関与するのが、体内に入ったアルコールの代謝過程で生じる、「アセトアルデヒド」という物質です。アセトアルデヒドを分解するには、「アルデヒド脱水素酵素(ALDH)」という酵素が必要となる。その1つ、「ALDH2」の活性が生まれつき高い人であれば、毒性の高いアセトアルデヒドは体内でスムーズに分解される。しかし、ALDH2の活性が低い人は、有害物質が体内に長くとどまることで、発がんにつながりやすいのです。
 日本人について言えば、ALDH2の活性が低い人(飲酒で顔が赤くなるフラッシャー、あるいはお酒を全く受け付けない人)がおよそ4割と考えられています。
ALDH2の活性が最も低い、下戸の人はアセトアルデヒドを解毒できないので、お酒を飲むと生命の危険すらあるため食道がんのリスクは高くなりません。お酒を全く受け付けない下戸の人は、お酒でつらい思いをすると飲酒自体をしなくなるからです。
昔は赤くなったが今は赤くならない、量も飲めるようになった、という人の場合、長年の飲酒によって耐性がついていると考えられる。だが、これは決してアセトアルデヒドを分解できる体質に変わったわけではない。このような人が危険と考えられます。
フラッシャーでない人も、飲酒量が増えれば食道がんのリスクは上昇する。そして、多量の飲酒を続ければ、アルコール依存症や肝臓の病気など、別の病気のリスクが出てきます。
なお、飲酒とともに、喫煙も食道がんのリスク要因であることも注意しましょう。

 食道がんのリスクを減らすと同時に大事なのが、早期発見です。
内視鏡検査は、一般的な内科クリニックのほか、人間ドックや、自治体の胃がん検診でも受けることができる。50歳を過ぎたら一度は内視鏡検査を受けておきたい。
 食道がんの場合進行が速いため、検査を1年先送りにすると手術はできるかもしれませんが、難易度の高い手術になる可能性があります。食道がんが見つかった時点で、もう手術ができず、命を救うことができない状態の方も少なくありません。毎年の検診はバリウム検査ではなく胃カメラを選択することが賢明と思います。