【営業時間】9:00~12:00 15:30~19:00
TEL.059-244-2222

2024年9月

キャッチアップ対象のHPVワクチン未接種者は9月中に接種を

 ほとんどのがんは高齢者に多いのですが、子宮頸がんのピークは30歳後半です。これは発症原因のほぼ100%が性交渉に伴うヒトパピローマウイルス(HPV)の感染だからです。性行動が活発な年代に感染したウイルスが30~40代に子宮頸がんの発症をもたらすわけです。HPVの感染を予防するワクチンが世界的に普及しており、日本でも2013年4月から、小学6年生~高校1年生の女子が対象の法定接種となっています。

 HPVから感染の原因となるDNAを取り除いた「殻」だけを接種しますから、接種で感染は起こりません。性行為にともなって本物のウイルスが侵入しても、殻に対する抗体ができているため、感染を防いでくれます。しかし、「副反応」をめぐって大騒動となり、厚生労働省は定期接種開始の2カ月後に「積極的勧奨」を差し控えました。対象年齢の女子に接種案内を出さなくなったということです。

 この結果、一時期は8割近くあった接種率はほぼゼロになりました。副反応だとする映像もセンセーショナルに報じられ、根深いネガティブな印象を与えたはずです。

 しかし、全国での疫学調査の結果でも、ワクチン接種と副反応との因果関係は特定されていません。他方、スウェーデンの調査から、ワクチン接種により子宮頸がんの発症リスクが4割以下になることが明らかになりました。17歳未満で接種した場合、リスクはなんと1割近くまで下がりました。

 積極的な勧奨の中断は9年間にも及びました。厚労省はこの9年の間に接種機会を逃した世代に対し、無料の「キャッチアップ接種」を呼びかけています。対象は1997年度生まれ~2006年度生まれの女性です。

 HPVワクチンは感染を防ぎますが、感染したウイルスの排除には無力。性交渉開始前の接種がベストです。キャッチアップ接種は25年3月で終了予定です。接種は3回必要ですから9月末までに初回接種を受ける必要があります。未接種の方はお急ぎください。

 

果物を食べましょう

 厚生労働省の「健康日本21(第三次)」では1日当たりの果物摂取量として200gを推奨していますが、近年は果物の摂取量が減少しているとの調査結果があります。これはライフスタイルの変化や果物の価格高騰などが影響していると考えられています。

 果物摂取は総死亡率や狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの循環器疾患、全がんのリスク低下と関連が深い。果物のポリフェノールやカロテノイドといった色素成分や、ビタミンCやビタミンEなどの栄養素が抗酸化作用や抗炎症作用を持つためです。また、果物は野菜に比べて生のまま食べることが多いため栄養素の損失を抑えられ、高血圧のリスクを下げる効果も期待されます。やはりネックなのは価格面と手間です。皮をむいたり種を取り除いたりなど、食べるまでの準備が面倒で敬遠されている。近年は、果物の生食にハードルの高さを感じている人でも手に取りやすくするため、すでに皮がむかれていてそのまま食べることができたり、飲料として手軽にとったりすることができる冷凍果物や缶詰、ドライフルーツ、ジュース、スムージーなどがあります。

 冷凍果物は農林水産省によれば、外気に触れると酸化してビタミンなどの栄養分が失われるため、なるべく包装のまま解凍し、解凍しすぎない状態で食べるのがよいという。

 では、凍結乾燥(フリーズドライ)したものでは冷凍よりビタミン類の残存量がやや劣っていたものの、長期保存による大きな変動は見られなかった。一見、サクサクとスナック菓子のような軽い食感をしているフリーズドライ食品でもビタミン類が大きく失われないとのことです。

 缶詰やドライフルーツはどうか。これらは、100g当たりのカロリーが高く、栄養価は生の果物よりも低いことが多い。缶詰の場合、食物繊維量は生とあまり変わらないが、カリウムやビタミンCはかなり少ない。また、ドライフルーツは水分が失われることにより100g当たりの栄養価が富んでいるように見えるが、いちごではカリウムやビタミンCが生に比べて非常に少ない。ただ食物繊維は失われていません。

 ジュースはろ過の過程で不溶性の食物繊維が除かれてしまいます。さらに糖が添加されているジュースは糖尿病のリスクを上げるという報告がありますので注意してください。

 ジュースのメリットは常温で保存ができることです。災害時はビタミン類やカリウムといった栄養素は不足しやすく、便秘や口内炎の発症することがあります。災害が起こったら生鮮食品の入手は困難になるため、常温保存が可能なジュースを備えておくと良いようです。